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奇蹟がくれた数式のkogureawesomeのレビュー・感想・評価

奇蹟がくれた数式(2015年製作の映画)
3.0
数学のことは分からないどころか、はっきり言って苦手な私に好きな数学者がいる。
インドをいや、20世紀を代表する数学者ラマヌジャンだ。
彼は大学教育を受けておらず、独学で数学を学び、世界の数学界を驚愕させる存在となる。
ラマヌジャンの天才を広めたのはイギリスの優秀な数学者ハーディ。
ラマヌジャンからの手紙を読んだハーディが驚嘆し、ケンブリッジ大学に召喚したのだった。
しかし、ラマヌジャンは菜食主義で、差別、孤独、戦争、病、インドに残した10歳以上年の差のある最愛の妻と、息子に執着する母の確執に悩まされたため、イギリスに滞在した5年間は必ずしも幸福な日々とは言えなかった。
「ラマヌジャンは我々の百倍も頭が良いという天才ではない。なぜ、そんな公式を思い付いたのか見当がつかないという天才なのである。」と藤原正彦は書いている。
例えば、相対性理論はアインシュタインがいなくても恐らく誰かが20年以内の遅れで見つけるだろうけれど、ラマヌジャンの公式は彼がいなかったら「100年経っても誰も思いつかない類のもの(それがいくつもある!)」だという。
ハーディは学界の無理解にめげず、ノーベル賞級に権威ある王立協会フェローにラマヌジャンを選出させることに成功する。
しかし、ラマヌジャンの病は重くインドに帰国し、一年ほどで32年の短い生涯を終える。
ラマヌジャンはインドにもイギリスにも居場所を見つけることが出来なかった。
それでも、ラマヌジャンの人生には人を魅了し共感させるものがあると私は思う。
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