A8

ラ・ラ・ランドのA8のレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.2
夢と現実。そして、夢と恋愛、、。
“夢追い人に乾杯を"そんな言葉が作中出てくるのだが、全てを犠牲にして、バカにもされ、恥もかいて、やめようか、、だけどやっぱり夢を追いかけていく諦められないその気持ちが痛いほどわかる作品であった。

そしてなんといってもグリニッジ天文台やロサンゼルスを一望できる場所でのタップダンス、、紫を基調とした夕焼けのコントラストから彩り鮮やかなドレス、、こういった心からワクワクさせる仕掛けがたくさんの歌や踊りとともに、夢を追いかける若者の葛藤とその成長がうまく描かれている。

デイミアンチャゼルの作品は“夢”を軸としたモノが多く、どれも最後のラストスパートは駆け抜ける速さで最後まで観客の心を掴んで放さないのであるなと。そして、ラストシーンでハッピーエンドと思う人もいればそうでなく切ない!ってなる人もいるのではないだろうか。個人が持っている価値観によって感情が変わるというのもこれまた素晴らしい。

ある映画で夢を追いかけるには今の世界を手放さないといけない。という言葉があるが、この作品を観ていて強く思いだす。主人公とヒロインは恋愛関係ではあったとともに、お互いの夢の成功への転機となった人物であることがわかる。最後のラストで“もしも”恋愛がうまくいっていたら、、とかを描かれるシーンがあるが“もしも”なんてなんでも言える。だけどやっぱり夢と引き換えになった恋は切ない。デイミアンは何人もこういう人を見てきたんだろうなぁと思った。
だけど、夢追いかけ叶った夢にお互いの成功を讃えるかのようなあの頷きに夢追い人の“本望”と夢で生きる“覚悟”が表されているように感じた。

パッと明るくワクワクさせるようなミュージカルから夢追い人の喜びの部分はもちろんだが、夢、自由と引き換えに訪れる手放すことになるモノへの切なさをうまーく描いていた。
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