このレビューはネタバレを含みます
今だったら、
「インデックス投資、数年以内にぶっ壊れるよ」
と言われても誰も信じないぐらい、非常識なことだったんだろうなぁ。
世界一豪華なサブプライムローン問題の学習教材でしたね。
シニカルではあるけど、思ったより100倍真面目。オシャレな経済講義ビデオ。
個人としては大勝利なのに、全員が浮かない顔をしてる。
「アメリカが負けることに賭けて勝った」
そりゃ、そんな顔にもなりますわな。
一般人への甚大な被害の上に成り立った勝利だもの。それこそ「詐欺に加担した」ぐらいの気持ちが生じていたのかもしれない。
個人的にはアダム・マッケイが監督なので、あんな出来事すら倫理観ギリギリのラインで茶化した上で、ラストの問題提起に持っていくような期待感があったんですよね。
爽快なラストからの、冷や水を浴びせるような皮肉たっぷりのラストメッセージ……みたいな。
本作では、シニカル・コメディの部分以上に、監督の持っている批評視点が強く出ていて、「誰一人勝者はいない」ということを強調したかったように見えました。
だから敢えて一瞬たりともカタルシスを感じさせなかったのかなと。
「最低限リーマンショックやサブプライムローンの話は分かってるよ」
そんな属性の人間が理解を深めるには、テンポも構成も第四の壁による演出も、よく練られているという印象でした。
「格付けを売ってるショップ」とか、イメージしやすいワードチョイスもたくさんあったしね。
全く知識のない属性に優しいとは言い難い。
そこはマーゴット・ロビーやセレーナ・ゴメスのセクシーでカバーできるものではありませんw
「中学生でも分かるサブプライムローン問題」ではなく、あくまでも今持ってる理解を補完してくれるものです。
それでも、こんな出来事が引き起こされたにも関わらず、諸悪の根源である金融関係各所のトップ連中は罰せられることなく、むしろ利益を出しちゃってる。
みんなが信じ切っていた金融システムがいかに一部の人の利益のために作られているかは、十分なほどに炙り出されています。
そのことは金融知識云々がなくても理解できますし、意義深いと思いました。
ブラピが随分地味な4番手ぐらいの役どころで出演していて、贅沢な使い方だなぁと思っていたら、彼が代表の「プランB」による製作だったんだね。