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ソ満国境 15歳の夏のqqfowlのレビュー・感想・評価

ソ満国境 15歳の夏(2015年製作の映画)
3.0
2012年夏。原発事故のあった福島では除染作業が続き、住民は線量を気にしながら生活していた。そんな時、福島の中3の放送部員5人が、中国東北部に招待された。そこは、彼らと同じ15歳の少年たちが、太平洋戦争末期のソ連侵攻による混乱の中、一夜を過ごした村だった。

映画と同タイトルのノンフィクション本「ソ満国境 15歳の夏」(田原和夫、1998)があり、1945年の場面は、これをかなり参考にしているが、改変されている部分もある。


~ざっくり内容(ネタバレ)~

1945年夏、満州の新京中学の生徒が、ソ満国境近くの農場に勤労動員で行くことになった。日本軍はソ連侵攻が近いことを察知して、兵隊や物資を後退させていたが、そんな中、兵隊でもない中学生が、最前線の危険地帯に送られた。

8月9日、ソ連軍が満州に侵攻し、100人あまりの中学生は1人の教員に引率されて逃避行を始めた。ほどなく敗戦となり彼らはソ連軍の捕虜となった。教員は連行されたが、少年たちはしばらくして解放され、自力で新京に戻ることになった。

しかし食料は乏しく、それまでの収容所生活で病気になった者もいた。そんなとき通りかかった石頭村で、村長はじめ村民は、親切に中学生たちを家に泊めて、ご飯を食べさせてくれた。

翌朝、出発の時間になって、村に残ると言い出した少年がいた。

===ここから、本に書かれている事実と異なる===

それは朝鮮人の金森(日本名)だった。

本名の金成義として村に残った彼が、2012年に、放射能を気にしながら生活する福島の中学生にひとときの休息を与えたいと、5人を中国に招待したのだった。

中国での旅程を終えて福島に戻った5人は、校庭で除染ボランティアをする3人の老人に出会った。彼らも金氏と同じ、新京中学の、あの時の中学生だった――。

~内容説明おわり~


映画は正直できすぎたストーリーで、変な感じがした。どこまで本当なのか分からなかったので、本を読んでみたら、上記のように、現代編だけでなく過去編も事実と創作が混ざっていた。

本のほうにも途中離脱した朝鮮人の同級生は出てくるが、それは石頭村でなく、収容所での出来事だった。飢え死にしそうになったので、どうにか収容所から出るために、出自を明らかにして姿を消し、その後の消息は不明だという。また、石頭村に残った同級生も出てくるが、それは体力が落ちていた日本人で、その後親に保護されたが10代のうちに亡くなったという。

映画では、本に出てきた2人↑から、架空の人物を創作している。書かれたままでよかったのにと個人的に思った。

本はボリュームたっぷり、情報量が多くとても読み応えがあり、映画をきっかけに出会えたのは良かった。
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