演者たちの演技には観る価値があると思います。
しかし、お話が酷い。宗教映画のよう。
「余命わずかの母の愛」を免罪符のように振りかざし、無理矢理に話が進む。
そして、登場人物たちは手放しでそれを讃え、肯定し、「母」に感謝する。
この思考に違和感しかない。
この監督はいつもタイトルからお話を作るそうで、あーだからか!と妙にこの出来に納得した。
その作り方自体が悪いわけではないのだけれど、やりたい結末、見せたい流れに向かわせるために都合よく登場人物を動かしすぎて、中身のないバカしかいなくなっている。
結果、「母」を教祖とする宗教映画になっている。
この映画が賛否極端なのはそのせいだ。
感動ポルノに素直に感動できる人はこの宗教の信者のようになり、できない人はなんとも言えない圧力に気持ち悪さを覚える。
おそらくこの映画の信者たちは、この映画で感動できない人たちを「心がない」と排他的に見るだろう。
まさにタチの悪い新興宗教そのもの。