ルークシュポール

カミーユ・クローデルのルークシュポールのネタバレレビュー・内容・結末

カミーユ・クローデル(1988年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

思ったよりロダンはあんまり出てこなかった
酷い男だが、そこまででもなかった
カミーユには「私の真似だろ」「私の望むように作れ」と言うくせに、他人には「彼女は自分で道を切り開いた」「真の芸術家、巨匠だ」と評していたのはどちらが本心?いやどちらも本心だろう。芸術家として認めていても、(元)恋人&師匠として向き合っては認められなかったのだろうか。
最も、カミーユが主張するよう嫌がらせはせず、公の場では評価していたようだが。

カミーユの才能を認め助ける人はたくさんいた(画商、ジャーナリスト、ドビュッシー、近所の家族 etc.)のに自壊していった。 
彼女は弟ポールだけを信用したが、彼の方は姉を理解できず尊重しようともしなかったように思う。ただし彼が薄情者というより、家族という立場が近すぎて疲弊しきってしまったのだろう。
全てを元恋人のせいにした妄想・陰謀論に足を突っ込んだ友人が私にもいたから、終盤は心が痛くなった。彼女は表向き平静を取り戻したようだからまだ幸いなのだろうが...
偉大になるために一番必要なのは健全な精神(現代の言葉ならレジリエンス)なのだろうか。

ジェラール・ドパルデューが「カミーユ」と呼びかける発音は世界で一番と言って良いほど魅惑的
ワイダ『ダントン』でカミーユ・デムーランに呼びかけたのと同じ声で(同じ俳優だから当然だが)やけに印象に残った
ドパルデューの当たり役はカミーユの名を持つ者を破滅させる役なのか。(とはいえ彼らの破滅は必ずしもドパルデューが演じた役のせいではないが)