ピンフまんがん

ハッピーアワーのピンフまんがんのレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.5
『賢明な映画ファン』であれば、この映画を見た瞬間に、きっとこの監督さんは世界的に飛躍するのではないだろうか?という期待を抱かずにはいられないであろう。案の定、ドライブ・マイ・カーで時の人となった。
5時間を超える、壮大な映画の物語に引き込まれる。これだけ長い時間なのだし内容から言って、時間を分けてドラマ感覚で鑑賞すればいいかなという感じにもなるかもしれないが、いいえこれはテレビドラマでは絶対に真似ができない、紛れもなく「映画」そのものなのであった。というか、あそこまで間合いをとる演出、特に小説朗読のシーン、長いけどワンシーンであそこまで引っ張れるのは普通のプロデューサーは文句言ってくるくらいのレベルだろうね。麻雀シーンのカメラ廻しは完全に小津調だった(≧◇≦)
しかしあのカメラ廻しは全体的には溝口健二の世界だったな。あとはヌーベルバーグっぽいような感覚もあったね。
そして登場人物、これがまた見事に個性溢れる連中で面白くて、視聴者を神戸に連れて行ってくれたような感覚になってしまう。そして、実はあの4人にかかわってくる男性陣についてはみんな揃ってクズキャラってのが面白い。考えないとわからない事も多いけどそれは製作者マジックにすっかり乗せられてしまったからであり、決して視聴者を〝置いてけぼり〟にしない上手い構成が光っていた。