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ノーザン・ソウルのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

ノーザン・ソウル(2014年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

1974年、イングランド西北部ランカシャー州にある架空の町バーンズワースが舞台。1960年代から70年代に北イングランドとミッドランド地方で起こったノーザン・ソウル・ムーブメントに基づく。

冴えない日々を送っていた高校生のジョンは、ある日レコードとダンスが好きなマットと出会い、DJやクスリにのめりこんでいく。

未発表の、あるいは埋もれていたレアな音源を"cover-up“と呼ぶのを初めて知った。

ブルース・リーへの憧憬等描かれている文化自体や、パンク以前のUKユース・ファッション(ベルボトム・パンツの太さ!)は興味深い。しかし筋立てはお定りで退屈である(音楽で結ばれる友情、警察の取り締まり、友との仲違い、兄貴分の死、思いを寄せる女性による救済、友との和解…)。学力診断テストの最中や兄貴分が亡くなったあとのジョンのキレ方(大声を上げる、物を蹴る)も若干陳腐である。残念ながら、何一つ特筆すべき新しい表現はなかった。

ウィガン・カジノという場所が出てくる。この地名はジョージ・オーウェルの『ウィガン波止場への道』でしか見たことがないので、ノーザン・ソウルの中心地だったことに驚いた。

主人公のジョンがスプレーで書くメッセージが最初と最後で効果的に使われており、友人のマットはそれを見て「テロリスト」と言う。グラフィティ・アーティストを"art terrorist"と呼ぶような感性はゼロ年代、バンクシー以降のものではないかと思ったが、正確にはどうか分からない。

ダンスフロアで上半身裸で踊るジョンとマットの汗が飛び散る艶やかな身体を執拗に撮っている点に、監督独自のスタイルとこだわりを感じた。ノーザン・ソウルの熱気をよく伝えている映画である。
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