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ムーン・ウォーカーズのHKのレビュー・感想・評価

ムーン・ウォーカーズ(2015年製作の映画)
3.5
マイケル・ジャクソンの『ムーンウォーカー』ではなく、アポロ11号の月面着陸映像は実は偽物だというどこかで聞いたようなお話です。
しかし『カプリコン1』でもなく、あの映像はスタンリー・キューブリックが政府から頼まれて作成したという都市伝説をもとにしたブラックコメディです。

舞台は1969年のロンドン、キューブリックの『2001年宇宙の旅』が公開された翌年、人類初の月面着陸に成功する年でもあります。
着陸失敗に備え、米政府は密かにキューブリックに月面着陸時の成功映像の制作を依頼、CIA諜報員が交渉のため大金を持ってロンドンに飛びますが思わぬ事態に・・・

当時はベトナム戦争の真っ只中。ヒッピーやドラッグ、怪しい宗教やアーティストたちの全盛期です。
ベトナムでのPTSDに悩まされながら大金を運ぶCIA諜報員に強面のロン・パールマン。
闇金に追われ相手がCIAとも知らずその大金を盗んでしまうのが『ハリー・ポッター』シリーズの“ロン”ことルパート・グリント。
二人のロンがW主演を務めた風変りな映画です。

この都市伝説を初めて知ったのは、以前『シャイニング』に隠された秘密を数人のオタクが考察するという怪しいドキュメンタリー『ROOM 237』を観たとき。
このドキュメンタリーでオタクの一人が『シャイニング』の中のダニー少年の服にAPOROの文字とロケットの刺繍があるのが何よりの証拠だと熱く語っていました。

音楽が宇宙シーンでは『ツァラツストラはかく語りき』、暴力シーンでは『泥棒かささぎ』、どこかで見たようなアイスキャンディが出てきたり、あちこちでキューブリック・パロディ。

イギリス映画ですが、監督はフランスのCM界で多くの賞を獲っている人とか。
無敵のロン・パールマンはカッコイイし、パールマンに一目ぼれして“天使ちゃん” と呼ぶヒッピーの女の子もカワイイし、ガイ・リッチー作品のテイストにも少し似ていてそこそこ面白いんですが、もうひとつインパクトが足りないのが惜しいところ。
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