MasaichiYaguchi

ルドルフとイッパイアッテナのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.6
斉藤洋さんの大ベストセラー児童文学作品をフル3DCGアニメーションで映画化した本作は、猫を飼っている人や猫好きな人なら心揺さぶられ、涙腺が緩んでしまうかもしれない。
大好きな飼い主のリエちゃんと仲良く岐阜市に住んでいた黒い子猫のルドルフは、あるアクシデントで遠く東京の江戸川区まで運ばれてしまう。
そんな“ここは何処?”状態のルドルフが出会ったのが、大柄なトラ猫で街のボス的存在のイッパイアッテナ。
ここからルドルフとイッパイアッテナの物語が始まる。
本作品で描かれるのは、飼い猫とは一味も二味も違うノラ猫の世界。
きちんとケアされ、エサが与えられる飼い猫と違ってノラ猫は自らエサやネグラを確保しなければならない。
イッパイアッテナは、飼い主と遠く離ればなれになったルドルフにノラ猫として生き方を教えていく。
このイッパイアッテナには秘密がある。
物語が進むにつれ、イッパイアッテナの元々の名前や、秘密を含めた過去が描かれていく。
ノラ猫としての生活に馴染んでも、大好きなリエちゃんを想うルドルフは何とか岐阜に帰ろうとするのだが…
果たしてルドルフはリエちゃんの所に戻れるのか、そしてその先には何が待っているのか。
犬に比べて猫は気まぐれで我儘だと言われるが、この作品を観ると猫も本当は飼い主が大好きなのが分かる。
更に本作からは、ルドルフとイッパイアッテナとの固い絆が、同じ猫仲間のブッチーやミーシャ、近所で地獄の番犬として恐れられているブルドッグのデビルとのエピソードに彩られながら、心にストレートに響いてくる。
人間よりも人間味溢れる猫たちの物語を鑑賞した愛猫家の人たちは、帰宅したら思わずその愛しい存在を抱き締めずにはいられないと思う。