菩薩

不愉快な話の菩薩のレビュー・感想・評価

不愉快な話(1977年製作の映画)
5.0
一つの穴から見る世界と、一つの穴に見る世界の考察。一部は「フィクション」と銘打たれ、二部は表記こそ無いがどこまでもドキュメンタリーチックな作りになっている。とは言え我々はこの話が「フィクション」であると知った上で同じ話をもう一度聞かされる為、いくら撮り方がドキュメンタリーチックであってもそれがフィクションであると知っている。しかしその「フィクション」とされる話自体が本当に「フィクション」かどうかは、我々は知る由が無い。フィクションとドキュメンタリーの狭間を探る試みは数多くの映画監督が行なっていると思うが、本作はそれを完全に破壊せしめ、ユスターシュにとっての「映画とは何か」の一つの答えになっているのではないか、そしてこの精神はホセ・ルイス・ゲリンに継承されている、そんな事を勝手ながら思う。そう言えばこの特集のキャッチコピーは「映画は人生のように」、人生は映画のようにはならない。ただ肝心の「不愉快な話」の内容が完全に会田誠の『青春と変態』レベルで女性にとっては不愉快な話であろう、そして男性にとっては…(ここにも性差の狭間を挑発的におちょくるユスターシュの姿勢が垣間見える)。
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