冬の亡霊

ボブという名の猫 幸せのハイタッチの冬の亡霊のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

猫映画ではあるんだけど、メインストーリーは猫よりも主人公寄りなので多分猫がめちゃめちゃ好きじゃない人でも楽しめるはず。
自分は猫めちゃめちゃ大好きなのでかわいさで吐息が漏れるレベル。実話なのもポイント高い。
茶トラのボブ氏(猫)のかわいさは、媚びた感じがなく自然体で良かった。本物のボブ氏の銀幕デビュー。
ハイタッチしてるぅ〜(´;ω;`)

舞台はロンドン。ホームレスでストリートミュージシャンとして日銭を稼ぐ主人公。過去にヤク中に身をやつしたが現在は変わりたいと思っている。しかし、知り合いに誘われて再びクスリを使ってしまう。支えとなる基盤が無いことをカウンセラーに憂慮され部屋を与えられ、偶然のボブとの出会いから、いろんな人達と出会う。今までは見向きもされなかった人達もボブの集客能力のおかげでなんとか食えるまでになっていく。隣人のビーガン(ベジタリアン)女子とも良い感じに。
そんな感じでミュージシャンとして順風満帆にいくのかなと思ってたら心ない人達の逆風に晒されて波乱万丈。
路上演奏禁止令に始まり隣人女子の嫌うヤク中だとバレて距離を置かれたりBig Issue(ホームレスが雑誌を自ら仕入れて売るやつ)の縄張り荒らしだと因縁をつけられ1ヶ月販売禁止を言い渡されて貧乏のどん底へ。
ボブのため、自分のため、見放されたと思った父にとって誇れる自分でありたかったと、3日かけてクスリを完全に身体から抜くことにも成功する。
そんな困難を乗り越えながらもボブのおかげで出版業界からお声がかかり、最終的には本屋でサイン会を開くまでの人気になりました!やったね!というハッピーエンド。

ミュージシャンで大成するんじゃ無いんかい!(笑)
まぁボブがいなかったら野垂れ死んでたかもと思うと大成功か。

ロンドンの街並みはとても綺麗だが、ボブをつい目で追ってしまうので、なかなかじっくりとは街並みを観察できない(笑)。

笑いと涙と感動と動物がバランス良くちりばめられていて好感。ライオンキング出てきたとこ笑う。主人公の肩に立つボブは凛々しい( ˘ω˘)
猫の喉を鳴らすゴロゴロ音とか多少リズムがへなちょこな弾き語りとか、映像だけでなく音にもこだわりを感じられて良かった。
ラストで原作者が「僕の人生そのものだ」とカメオ出演する演出も心憎い。

個人的な泣きどころは、再婚した父と疎遠になって煙たがられてると思っていたけど、そうじゃなかったのが分かったところ。

動物好きに悪い人はいない、なんてことはなく、犬とその飼い主を多少悪く描いてるシーンがあるので、優しい人ばかりじゃない現実的な厳しさは、小さい子どもに見せる上では賛否が分かれるかもしれない。

映画の中で「代替薬のメタトロンをやめる方がヘロインをやめる時より辛い」みたいな言及がある割りには、クスリを抜く為に自ら部屋に籠もるシーンは淡々としていて、減薬→断薬への段階を経ていたからなのかな?とは思ったが、もっと辛そうに描いた方がクスリの怖さが分かると思うので、そこはもうちょっとだけ頑張って欲しかったかな。

パンフレットとサントラを購入。