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帰ってきたヒトラーのぉゅのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
3.6
2021年 鑑賞 21-104-3
原作はティムール・ヴェルメシュ先生の(風刺)小説に、ダーヴィト・ヴネント監督が、2010年代のドイツに蘇ったヒトラーが巻き起こす騒動を描くブラックコメディ作品。

2014年のベルリンに蘇ったヒトラー(オリヴァー・マスッチさん)は、疲労で倒れ込んだところをキオスクの主人に助けられ、そのままキオスクに居候することになった。同じ頃、テレビ会社をクビになったザヴァツキ(ファビアン・ブッシュさん)は、撮影した映像にヒトラーそっくりの男が映り込んでいるのを発見し、テレビ会社に復職するための自主動画を撮影するためヒトラーと共にドイツ中を旅する。ザヴァツキは撮影した動画を手土産にテレビ会社に復職し、ヒトラーはトーク番組へのゲスト出演が決定した。ヒトラーの政治トークは視聴者の人気を集め、一躍人気者となり...

昨年、今年とナチスやヒトラーに関する作品をいくつか観ているが、巻き込まれた人々側目線か、コメディ風(風刺も含む)のどちらか。今回は?

決して誇張されたヒトラーでも、コメディリリーフ風のヒトラーでもないのに、ヒトラーが2014年のドイツの社会に入れられることで生まれるスレ!現代に放り込まれたヒトラーが現代社会の風刺を...

ヒトラーとザヴァツキのロードムービーへ発展。ドイツ中を周り、現代のドイツの問題を民衆に聞き、ヒトラーが吠える。現代ドイツでの最大の汚点が、現代のドイツを正論で叩くという、ある意味最大の風刺。犬に噛まれるシーン、元気柵のシーンは吹いた!古典的なのも挟んでくるのね。

風刺画、モザイク、自分に権限があれば、自己啓発本、君を逮捕する、黒目線の入った顔、悪魔崇拝、ヴィキペディア、生放送のトーク番組... あの演説が...

ドイツだけでなく、日本や世界の国々も、TVやYouTubeなどの動画、ラジオ等ので、先の奈落の底が見えていないのかもと思えたし、しかも、世界史でも数本の指に入るヒール(ヴィラン)のヒトラーに教わるという、最大で最強クラスの風刺描写(けっして極右な訳でもないし、極右最強などとは思っていないっ!)。

“最初はみんな笑っていた だが... ”
ラストのラストの言葉までズシンと来る、笑ってはいけないような風刺もありつつ、更に右斜め上に行くストーリー展開...
“エンタメは誰の心にもある” どのような手法を取ろうとも、どのような思想でも、どのようなジャンルを選択しても、どんな危険を犯しても... 教団Xのあの書籍たちも、あの映像作品たちも、お抱えの俳優さんたちも... エンタメなんだ!お●●や目●という●の、●●●も、広い目で見たエンタメなんだね!もうこの作品と関係ないっ!
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