このレビューはネタバレを含みます
ドキュメンタリータッチの前半の、現実感というか、ヒトラーの実在感がハンパなくて。
ヒトラーがほんと可愛いくて。
15分番組で毎週やってくんねえかな、とか。
ヒトラーが街の声を聞く、ヒトラーの姿をした相手だからこそ言える言葉、暗い本音、正直な言葉、露悪的な言葉、表出してしまう本音の一端、というのがあるんだろうなとか、
日本でもこんな声たくさん拾えてしまうんだろうな、いやもうそういう番組やってんのかな、さいあくだな、やんなっちゃうなとか。
でもネオナチに説教するくだりなんて、日本にも来てくれねえかな、ネトウヨに喝入れる総統閣下とかちょっと見たいぞ、いやもうシャレにならないな…なんて思ったりして。
現代のマスコミって自分たちの影響力をイマイチわかってないよね、とか。
情報とか言葉って、もっともっと取扱注意の劇薬、諸刃の剣だったはずなんだよな、とか。
しかし、ゲッベルスが見たら泣くぞ、だっけ、笑っちゃったわ。
色々思いつつ。
後半、映画化に向かうあたりから、ちょっとシラケちゃったな。
でもじゃあどうして欲しかったかというと、わかんないからなんともいえない。
でもうん、私たちは排外主義、差別的意識からは逃げられない、愚かな人間で、悪と共に生きなければならないとしても、
ヒトラーもしくは親衛隊が実際に人殺すところまで撮って、ゾッとさせて欲しかった気がする。悪は消せないにしても、超えてはいけない一線がある、悪に屈してはいけないんだと明確に示してほしかった気がする。
うーん。前半がブラックコメディとして笑えただけにな…
認知症のおばあちゃんもヒトラーの所業だけは忘れてないんだ、っていう脚本も、わかるけど、ちょっとあざとくて。
日本はもう、相模原事件後なんだ、という思いがどうしてもあってな。ネトウヨ思想にかぶれた犯人による、あんな事件が起きてしまった後なんだ、というショックがずっと消えなくて。あの事件を肯定するようなひとが選挙に出るような国なんだ。ヒトラーだって、優生思想という言葉を意識してたわけじゃないだろう。いやしてたのかな。
現実が怖くて。笑えない。ぜんぜん笑えないんだよ。
うーん…