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ガタカのmochiのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
4.5
大好き。いい映画だった。SF×ドラマって感じで、こういうの求めてたわ。
リアリティは正直あまりないかな。人間がここまで先鋭化された社会を作ることは合理的に正しくても無いと思う。合理性なんて吹き飛んでしまうくらい、我々の直感の力は強い。
イーサンホークに目が行きがちだけど、主人公は実は二人なのだと思う。偽物であるがゆえに自分の夢を叶えられない男。そして本物であるがゆえに満たされることのない男。利害が一致し自分では無い自分になる。「意志は運命を変える」みたいな見方は非常に紋切り型で好きでは無い。むしろこの映画が伝えたいのは、「自分は誰に/なるのか」が重要なわけでは無い、ということなのだと思う。そうではなく、重要なのは自分は誰であるのか」なのだと。自分は他人になってもやはり自分である、と思うことが究極なのだと。イーサンホークが新検査を受け入れるシーンはまさにそのことを意味する。「自分になる」ことが無理になっても「自分である」ことはできるのである。これとはついに、本物がラストで銀メダルを首にかけるところも象徴的である。これは彼が恥と思っていた功績を受け入れること、過去の自分が確かに今の自分なのである、ということを表している。
彼らは二人とも別の自分になろうとした。そしてその二人とも成功した。だが事件を通して、「自分であること」を再確認した。次なる問題は「自分であること」とはいかなることなのか、という問題である。そして二人ともその答えを探しに行った。最後のイーサンホークのモノローグが生命の誕生に関するものであるのはそのためである。偽物は大いなる宇宙に生命の始原を求め、本物は母なる大地に生命の始原を求めたのだ。
ほんといい映画でした。あと稚拙な感想だけどユマサーマンエロすぎ。いいよね〜。おきにいった綺麗さではないところが好きだわ。
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