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火の山のマリアのodyssのレビュー・感想・評価

火の山のマリア(2015年製作の映画)
3.2
【グアテマラ事情】

中米グアテマラを舞台とした映画は珍しい。
そこに住む先住民の生活を描いているからなおさらである。

先住民の娘マリアは両親とともに貧しい暮らしをしている。農場の雇用主である青年と結婚する予定になっているが、別の先住民青年から言い寄られており、一緒にアメリカ合衆国に移住しようという計画も立てている。ある晩、彼女は先住民青年に体を許してしまうが、その直後に青年は姿をくらまし、彼女は妊娠して・・・

先住民はグアテマラの公用語であるスペイン語を話せず、それがまた生活上の、或いは法的な保護を受ける場合の不利となってしまう。そういう事情がこの映画を見ると分かってくる。

といって悲惨な生活を描いた暗い映画なのでは必ずしもなく、火山に寄せる先住民の素朴な信仰や、農場でのユーモラスな仕事ぶりなども映し出されている。

妊娠したヒロインのたどる運命がちょっと変わっている。この国の闇がそこから見えてくるが、この映画は解決策を暗示することなく終わっているのが独特。
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