大ヒットを記録した劇場用オリジナル長編アニメーション。
監督・脚本:新海 誠
山深い村で生活をする女子高生の三葉は不思議な夢に悩まされていた。
一方、東京で暮らす高校生・瀧も同じような夢に悩まされていた。
1000年ぶりの隕石が迫るなか、二人の運命の歯車は動きはじめる。
アニメ映画史に残る大傑作。
よーできた映画じゃ。
男女の入れ替わりもの、そしてタイムリープ。
あらゆる舞台装置、あらゆる設定が完璧に噛み合っている。
口噛み酒はちょっと受け入れられないが。
伝えるべき情報が無駄なくスマートに理解できる構成もお見事。
入れ替わりがそれぞれの人間関係に影響してドタバタしていく過程もおもしろい。
それぞれに起きる現象と解明の過程がしっかり描かれていて、しかもちゃんとラブロマンスになっている。
終盤の"村人救出大作戦"もとてもおもしろい。
でも、なによりなのは、ちゃんとしっかり「瀧と三葉の物語」になっていること。
「村を隕石から救う」、という展開も規模感としてちょうどいい。
「隕石落下を防止する」ではなく「村人を避難させる」なのもよい。
これより大きな話になると、恐らく「男女の物語」の枠では語れなくなる。
とにかく全体がちょうどいいところに収まってる。
あと、やっぱ音楽のつかいかたが抜群にうまい。
RADWINPS、売れるわこれは。
タイムリープについては、かなりめちゃくちゃで強引な印象を受けるが、これは「あえて」だろう。
理屈っぽい説明はあるが、SFというより伝奇もののテイスト。
小難しい解説を避け、程よく抽象化した"それっぽい説明と現象"。
SFをオカルトに置換することで生まれるわかりやすさ。
地味な部分だが、本作の革命的な要素って、実はここだと思っている。
ここいらの塩梅は以後の新海作品でも多用されていく。
それにしても、記憶を失った瀧が探しものまでわからなくなって「就職のことなんかな」と弱音を吐くシーンは、氷河期おじさんとしては笑えないところではある。
まぁ、笑ってしまったけども。
部分部分でつっこみどころが散見されるのはご愛嬌。
最初から最後までエンタメとしての強度がゆるまない化け物みたいな映画。
2024ー旧009