りちゃ

何者のりちゃのネタバレレビュー・内容・結末

何者(2016年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

人間の後ろ暗い感情を描いた物語

拓人は自分の人生を生きていない。他人の人生を生きる批評家となり、そのことに自分自身で気づきながらも気付かぬふりをしている。
他人の努力、ひたむきさ、信念(=痛々しさ)を冷めた目で批評し、自分は何も行動をしない。
自分自身、起業したり自分の知らないベンチャーに行ったりした人を同じような目で見ていたと思う。
自分のダメさと向き合えていたから、この映画を観る前に、そういう自分のサムさには幸い気づけていた。


二階堂ふみはというと、「学級委員がそのまま大人になった」が言い得て妙。
学級委員の女の子といえば、自分が正しいと思ったものが正義。それを貫き通そうとする融通の効かなさがあってウザい。
それでは世渡りがうまくいかないというのはどこかで気付く子が多い気はするが、二階堂ふみみたいな子も一定数いるよね。
それこそ真面目で直向きで色んな活動とかするんだけど、空気が読めないから、GDでもああいう行動をとるし、自分は立派にやってるのになぜ評価されないのか、と世の中に対して苛立ってしまう。
こういうタイプは正直あんまり関わりたくないけど、可哀想だなとは思う。

佐藤健タイプは、自分自身から目を背けるのをやめれば変われる(自己分析力だって当然あるけど逃げているだけなので)けど、そういう子はそもそも自分の至らなさになかなか気づけないような気がするから。他人にどれだけ指摘されたって自分が正しいからなかなか聞き入れられず、結局見放されてしまう。

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菅田将暉の「俺は就活上手かっただけ」発言はなかなかにツラい。佐藤健から見たら、菅田将暉はあまりにも「何者」である。
ただ、菅田将暉の気持ちもわかる。何が評価されたのか結局よくわからず、「内定」という事実だけ与えられる。採用選考で見せている自分なんてほんの一部でしかなく、そこでしか判断されないのだから、ただ表面を取り繕うのが上手かっただけではないのか、、、と。
しかし、自分の経験上、なんや勘やで結果が現実を表していると思う。
たまたま落ちてしまうことはあっても、たまたま受かることなんてない。
りちゃ

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