なち

映画 聲の形のなちのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
5.0
小学生の時、聴覚障害のためいじめられていた西宮硝子。
いじめの主犯は同じクラスの石田将也。
補聴器を取り上げてゴミ箱に捨てたり、壊したり、周りの声が聞こえないのをいいことに本人の目の前で悪口を言ったり、筆談用のノートを学校の池に捨てたり、いじめはエスカレートしていく。
そんな中、硝子の転校を機にいじめの主犯が炙り出され、石田と一緒になっていじめていた周りの子は「だからやめろって言ったのに」「石田くんやりすぎだと思ってました〜」とみんな石田を生贄に差し出した。
石田はその日からクラスでハブられ、いじめられるようになり、その時になってやっと硝子の気持ちがわかった。

そして時は過ぎ、
高校生になっても友達のできない石田は
西宮祥子と再会する。



イジメに関しての教材としては◎
映画としては×寄りの△

個人的には好きになれない。
いろいろ都合が良すぎる。
あれだけ過去にいじめてきた石田将也を許し、さらには恋愛対象として好きになれる性根逞しすぎる西宮硝子にはまるで共感できないし、ご都合主義すぎる。

だが5.0を付けた。
あまりに展開がリアルだった。
・いじめの主犯が逆にいじめられる
・いじめられて初めてわかる“される側”の気持ち
・後悔と贖罪
・贖罪はしたいが方法がわからない
・そして空回りする
・周りからは“過去にいじめてたくせに”という記憶と事実がいつまでも残っている
・過去にされたことは決して忘れない
・“自殺”という選択肢
・親の責任や立ち回り

さすがの京アニ、絵柄が可愛くゆるふわなので内容のキツさがかなり緩和されている。そのためラストは感動すらできる。
本当に絵柄に救われた作品だと私は思う。

将也が硝子をいじめている事実を将也母が知った時「西宮さんとこ謝りに行くよ」と将也を連れて、銀行でお金を下ろして、硝子母のところへ行くシーン。
将也を車に置いて、母親同士で話し合いをした。帰ってきた将也母の耳から血が流れていて、ピアスを引きちぎられたようだった。そして「帰ろっか、将ちゃん」と言ったときの将也母の表情はとても印象的だった。
自らやったのか、やられたのかは描写にないのでわからないが、おそらく将也母は自らやったんだろうと思う。硝子の母がそこまでするとも思えなかった。
本作、子供だけでなく親の立ち回りもかなり良かった。すごくあり得る展開で。




もう何年も前だが、Tinderで適当に遊んでた時期に知り合った1人の男性。
私としては恋愛するつもりはないので、未婚でも既婚でも彼女がいようと別になんでも構わなかったし、顔でしか判断していなかった。
ある日私の家で「なんか映画でも見ない?」という流れになったので、サブスクつけてなんとなく最初に目に付いた「『聲の形』見たことある?」と聞いたら「あーごめん、俺それ見れないんだ」と言われた。
あまり深く考えずに「んーじゃあどんなのがいい?」と軽く流しそうになったが、彼の方が「娘が2人いて、下の子がね、耳聞こえないんだ」と言った。
まあ妻子持ちなのはさておき、妻子持ちがTinderやってることもさておき、Tinderでしっかりマッチしていることもさておき。
あのときの彼は男ではなく“親”の顔だった。もしかしたら家庭や仕事でいろいろあって魔が刺してTinderやってただけかもしれない。それかもう根っからの女たらしなのかもしれない。別にそんなのどっちでもいいけど、なぜか自然と「今日はちょっとお話しして帰ろうか、駅まで送るよ」と言葉が出ていた。その時は(少なくともこの人は、私とはもう会わない方がいいだろうな)と思ったし、今でもそう思う。なのでその日見送ったあと連絡先は消したし、私は引っ越した。まあ顔は本当に好きだったので残念ではあります。
その言葉は私の優しさかもしれないし、不倫に家庭を持ち込むなという私のエゴかもしれないし、どちらかわからないけど、この作品を見るとその彼を思い出す。
この思い出も含めて5.0という感じある。


あれ、レビューどこいった?
もう書きたいこと書き切ってしまったので、気になる方は見てください。
なち

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