無知A

映画 聲の形の無知Aのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
3.9
伝えたくても伝えられない、伝えられたと思っても伝えられていない。これは、硝子のようにハンディキャップを抱える者に限った話では無いように思う。確かに、全員が全員に伝わる手段を用いて、思いを伝えられれば争いは生まれない。だが、それが難しいというのが現実であり、作中の紆余曲折がまさにそう表現していた。ある者は筆談という方法で相手に合わせ、ある者は手話を覚えてコミュニケーションを図る。また、ある者は物理的に感情をぶつけ、ある者は周りをなだめる。どの者も、それぞれのコミュニケーション方法があり、互いに相容れないからこそ、バラバラになってしまう。

だからこそ、互いに歩み寄る事が必要なのだと、今作は語っていたように思う。将也が手話を覚えたり、硝子が言葉の音声で気持ちを伝えたり。時には、観覧車や、事故後に暴力を振るう場面などのような衝突。ここで見られるような衝突と、その先にある和解に、エッセンスが詰まっているように感じた。

総じて、今作は美しいアニメーションだけではない、非常に深く、重厚な物語だった。テーマがしっかりしているので、ぼーっと見ていても、気付けば心に刺さるものが多かった。『聲の形』というタイトルを考えると、やはり大切なのは、メッセージとその形なのだと思う。


(内訳)
面白さ 3.8
学び 4.1
構造 4.0
無知A

無知A