アキヒロ

ウィッチのアキヒロのレビュー・感想・評価

ウィッチ(2015年製作の映画)
3.8
家族の疑心暗鬼によって引き起こされた"家族間の魔女裁判"。
「魔女」は人間の罪業から生み出される。
若きアニャ・テイラージョイの怪演がみごと。

宗教の方向性の違いで村を出た一家。
森で暮らすうちに、末っ子のサムが行方不明になり、その次にケイレブも森ではぐれて…

家族が村を出たときから、次々と不幸に見舞われますが、それは一体「なぜなのか」がこの作品のテーマになっています。

村の加護を失ってイライラの母親は娘トマシンに当たります。銀のコップがなくなると、トマシンのせいに。
一方、父親とケイレブは冬までの蓄えに不安があるので、森の中で獲物を狩りに。
しかし、狩りをするうちにケイレブは自分が「罪にまみれているんじゃないか」という疑念が湧いてきます。
ケイレブは年頃で姉トマシンの膨らんだ胸に性欲を掻き立てられていました。

思い返せば、サムの行方不明時はトマシンが彼を連れていました。
また、ケイレブの行方不明時もトマシンだけが同行していました。
つまり、サムは「食糧不足を案じたトマシンに間引きされた(口数を減らすために殺された)」と取れる状況です。
ケイレブは「近親相姦の欲求を持つ弟を誘惑し、両親の愛情を独占するためにトマシンが監禁していた」とも取れます。
トマシンは悪魔が黒ヤギに変身し、双子の兄妹と契約した、と訴えます。
それにより、トマシンと双子はヤギ小屋に監禁。
トマシンは前に冗談で「自分は魔女と契約した」と嘯きましたが、真実は…

父親は黒ヤギに突進され死に、母親はトマシンに刺殺されます。
よく見ると、母親を刺したトマシンは泣いているように見えますが、「目から涙は流れていません」。
母親が絶命すると、まるで物をどけるように、どさっと母を振り払うトマシン。

そう、トマシンは魔女でした。全ての家族を殺害したのはトマシン。
しかし、「魔女」なんて本当にいるんでしょうか?
不思議な出来事はトマシンの見ていた幻覚で、トマシンは家族の軋轢で「自分が魔女だと思い込まされた哀れな女の子」と解釈することもできます。
アキヒロ

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