パン

パニック・イン・テキサスタワーのパンのレビュー・感想・評価

4.7
大傑作。恥ずかしながらこんな素晴らしい映画を見落としてたのか…
本作は66年8月1日に発生したテキサスタワー乱射事件を映画化したものだ。
事件の流れといい、割と忠実に再現されてるように思った。
まず犯人の凄腕に驚愕する。
この映画(というか事件)はとにかく画が凄い。

元海兵隊のチャールズ・ホイットマンが90mの高さの展望台から(実際に観るとめちゃくちゃ高い)ライフルで地上の人間を次々に撃ちまくる。
最初観た時「え、こんなに高いの?これ当たるのか?」って思ったくらい。
あまりにも遠距離すぎて通行人達は銃声すら聞こえてなかったりする。
実際のこの事件もふざけて倒れたふりしてると思われたりベトナム戦争の反戦運動か何かだと勘違いされたらしい。
そりゃ歩いてる人が音もなくいきなり倒れたらね…

ところでフルメタルジャケットを観たことがある人はハートマン軍曹がホイットマンを紹介してたことを知ってるだろうか。
ハートマン軍曹が称賛するくらいには凄い人物ということになる。
例え無差別殺人犯でも…

カート・ラッセルはホイットマン本人にそっくりだね。
かなりの熱演だった。ああやって水分補給しながら次から次に撃つってもうゲーム感覚みたいだね。

飛行機から狙撃するシーンあったけどあの時代ってナム戦中だし一応攻撃ヘリとかあったよね。でも警察のヘリはまだなかったのかな。
流石に飛行機から狙撃は狙うほうも狙い返すほうも至難の業だろうね。

あと犯人の心情をもっと深く掘って欲しかったかな。
そこだけ残念。なんなら警察パート削っても良いのでは?って思ったくらいだ。あと人が撃たれて倒れた時に全く血が出ないのも気になった。

ラジオ犠牲者リストが流れてくるところで絶叫してたけどあれは彼の良心が邪魔したのかな。
「精神科にも行った。この世は生きるに値しない。」ってセリフがどこまでも哀しかった。
俺のほぼ希望通りの映画で満足した。

主人公「俺が死んだら脳を解剖してくれ」と言葉を残してるが、実際に事件後に解剖した結果くるみ大の悪性腫瘍があったんだね。
もしかしたら俺の脳にもあったりするんだろうか。
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