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婚約者の友人のkojikojiのレビュー・感想・評価

婚約者の友人(2016年製作の映画)
3.9
 2016年制作の恋愛サスペンス。監督は私には「スイミング・プール」が印象的なフランソワ・オゾン。他に「まぼろし」「8人の女たち」がある。
 
 アンナ役のパウラ・ベーア、謎の友人アドリアンをピエール・ニネが主演。本作は「私が殺した男たち」(1932)のリメイク版。

 白黒と効果的なカラーを織り混ぜ、美しい映像と音楽でじっくり味わい深い恋愛サスペンスが楽しめる。パウラ・ベーアが美しい。

 1919年、ドイツ。婚約者フランツを戦争で亡くしたアンナは、フランツの両親と共に暮らしていた。ある日、アンナはフランスからやってきたフランツの友人と名乗る男に出会う。しかし、この友人はどこか謎めいていた。

 大戦後すぐの時期だけに、フランス、ドイツのお互いの国民の憎しみが癒えていない。街全体がフランス人とわかればアドリアンに対して憎悪を抱く。薄々そんなことではないだろうかと思ってはいるものの、その微妙な状況の中で彼が語る秘密がアンナ、そしてフランツの家族にとっては衝撃的すぎる。

 絶望的な状況のアンナが彼に一縷の希望を夢み、それが愛に変わるのは必然のように感じる。微妙な感情の揺らめきをパウラ・ベーアが見事に演じている。

 悲恋。もちろん底辺にはずっと反戦がこだましている。良い作品と思う。

#2022-291
オゾン-1/31
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