いろどり

パン・タデウシュ物語のいろどりのレビュー・感想・評価

パン・タデウシュ物語(1999年製作の映画)
3.7
ナポレオンのロシア遠征を控えたポーランド・リトアニア共和国が舞台。ポーランドの第三次分割によりロシア支配下に置かれたリトアニアの村での小貴族の対立、許し、和解を描いた壮大な文芸ロマン。

ポーランド人の祖国愛をひしひしと感じる作りで、ポーランドとリトアニアの一蓮托生の関係と、対立する2つの士族、またそのなかでの息子タデウシュ、娘ゾーシャの関係を突き合わせて描く。

ポーランドの国民的詩人による原作はポーランド人にとっては馴染み深いものらしく、これは原作に忠実に作られたとのこと。たびたび流れるポロネーズがポーランド愛をかきたて、アンジェイ・ワイダ監督の祖国愛を十分に感じた。

でも、たくさん出てくる人たちがどちらの士族だか把握できるようなったのは中盤くらいから。なかなかややこしい💦
忠臣ゲルヴァズィが悪魔のように人々を扇動していくのが恐ろしかった。ロシア支配下ではナポレオンのロシア遠征がどれだけ希望だったのか、その後の歴史を思わずにいられない😢

農園で両家が手と手を取り合って踊る終盤のポーランドの踊りは感動的!!ダルシマーの音色が優しくてうっとり。長年の憎悪が溶けて和解した幸せは、荘園制の終わりや農民の解放をも告げる。銀色のライ麦畑とつがいのこうのとりで締めくくるラストも素晴らしく、文芸の香りたつ美しい歴史作品だった。
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