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失われた美のpepoのレビュー・感想・評価

失われた美(2015年製作の映画)
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中世の絵画を彷彿とさせるマジックリアリズム的なシーンや、デモやゴミ収集や冒頭施設等々の現実を反映させたシーン、そして自然の中で進む寓話的モチーフetc.、それぞれのシーンによって光と色と質感が使い分けられてるのが面白かった。サルキアポーネ(仔牛)ビジョンだとちょっと粒子が荒い感じで目線が低い、とか。同ピエトロ・マルチェッロ監督のマーティン・エデンでも少しだけ挿入されてた幻想的な画面が全編で存分に展開されてる感じ。
王宮や家や自然を映す画面は美しく、仔牛や犬は本当に可愛らしいんだけど、所々に挟み込まれる「現実」の問題が寓話の側にも染み出してきてずっと底流で不穏な緊張感が続く。あんまり気楽には観られない作品だったな...

プルチネッラが“分裂”するところとか、ヒエロニムス・ボス的ユーモアに意表を突かれる場面とかは楽しかった
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