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ドラゴン・タトゥーの女の61のレビュー・感想・評価

ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)
4.8
デヴィットフィンチャーらしさが詰まった一作品でした。
孤独感といい憂鬱感漂う演出。そして展開の読めないミステリー。彼が鬼才にして完璧主義と言われるにも納得。

社会的な訴えを表現した黒を基調とした意味深なオープニングから始まり、ラストは切なさを感じるエンディング。
ただのミステリーだけでなく性差別への意識、フェミニズム的寓話も絡んだストーリー展開で、肉体的に弱い立場にある女性が男性優越主義への復讐を遂げる刺激的な作品だった。

正直話が難しすぎて、登場人物の多さや一族の相関図などまったくもって整理しきれずに鑑賞を続けた。相関図など理解した上で見ていたらもっと面白かったかもしれないが、なんとなくの理解でもちゃんと楽しめた。

強姦や性差別、殺人など悲惨なシーンは多々あるが、ルーニーマーラー演じたリスベットの華奢で哀愁漂う演出が素晴らしかった。身体中に開けられたピアス、彫られたタトゥー、パンクファッション、ロードバイク。反社会的な印象とは裏腹に驚異的な記憶力をもつ天才ハッカー。誰もが惚れるかっこよさだった。
大量のピアスは特殊メイクではなく実際に開けられたものだという。そこがもう女優魂を感じたし震えた。

話が少し逸れてしまったが、ストーリーに話を戻そう。
彼女は20歳以上も年上のミカエルに恋をする。そのことから彼女は同性愛者ではなく幼い頃のトラウマにより男性にトラウマを抱いていることが、後々伺えた。だからこそラストシーンが本当に心苦しく、切なかった。

リスベットばかり書いちゃうけど、本当に渋くてかっこよすぎて久々に映画の登場人物にドキドキさせられた気がする。

やられっぱなしのミカエルとは反対に
「殺しちゃっていい?」って恐れる素振りもなく犯人の後をバイクで追う姿が半端なくカッコ良すぎた。

演出に魅了されたがミステリー作品として理解しきれてない部分があるのでまた再度鑑賞したい。
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