EDDIE

オクジャ okjaのEDDIEのレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
4.2
韓国の少女と品種改良されたブタの感動物語。手塩にかけて育て、息もバッチリなほど心を通わせたそれぞれを引き裂く大企業の陰謀。
しかし、社会倫理的にどちらが正しいともひと言では片付けられない深さがこの物語にはありました。

根本として世界的多国籍企業ミランド社が品種改良したブタを作った目的は、世界の食糧難を解消することにありました。
餌も少なく、排泄も少ない環境にも良い巨大生物。10年という期間を定め、世界中の家畜農家に巨大ブタを送り、大きく美しく育てることを企てます。
10年が経過し、いよいよ企業側はブタの確保に動き、そして10年で培った少女とブタのオクジャの信頼関係を無視し、引き裂きます。
ここからオクジャを取り戻すため、少女の大冒険が始まるわけです。

これね、ホッコリ温まるハートウォーミングストーリーで、社会倫理に訴える内容だということは予想できました。作品内容見るとそんなことだろうなぁと。
いやいや、これアクションシーンもめちゃくちゃド派手!少女ミジャを演じたアン・ソヒョンも体当たりな演技頑張ってましたね。凄いです。
そして、本作に欠かせないALFという動物保護団体。彼らも様々な葛藤を抱えながら、オクジャらスーパーピッグの保護に乗り出していくのですが、このキャストもまた豪華。リーダーのジェイにはポール・ダノ、女性メンバーとして参加しているレッドを演じるのはリリー・コリンズ、いやぁ美人!そして、通訳を務めるケイをスティーブン・ユアン。
このジェイとケイの関係性についても映画を通して観ることで凄く感情移入できます。
で、かの大企業の社長ルーシー・ミランドを演じるのが名優ティルダ・スウィントン。いやぁ演技派ですねぇ。めちゃくちゃ悪巧みしてそうな表情に引き込まれちゃいました。そして、姉ナンシーに対する畏れ。これの表現の仕方、演技力には舌を巻くしかありませんでした。
ミランドの広告塔として、動物博士ジョニー・ウィルコックスを演じるのがジェイク・ギレンホール!もはやムツゴロウさんを模してるとしか思えないキャラクター設定でしたが、いやはやジェイクこんなキャラまで演じちゃうのかと。本作で最も印象的で愛着の湧くキャラでした。
企業の目的を達するために葛藤する様はちょっと涙腺をえぐられました。なんだかんだ動物のことを愛してるのは本心なんだなぁと。

結末はなるほどそういう感じね、となりましたが、ここに付いてきたオマケがあるんですが、まさに未来を明示しているようで「こんな未来もあっていいよね」と結果的にはホッコリさせてもらいました。

ただし、冒頭に書いた通り、倫理的にはどちらが正しいとは断言しづらい。ミランドのやってることを否定してしまうと、牛、豚、鶏などの家畜を我々が普段口にしていることを重ねて否定してしまうことになるのですから。つまり我々も同罪だと。

あとはこの映画エンドロールの後まで楽しめるので鑑賞する方は最後まで是非観てみてください。
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