ローズまりぃ

THE WAVE ザ・ウェイブのローズまりぃのネタバレレビュー・内容・結末

THE WAVE ザ・ウェイブ(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

84本目。
ちょっと専門的な言葉が最初多くて全く理解できなかったのでネタバレ記事の文を拝借。
またこの作品を観て思ったのがこんなに家族仲良いの珍しいっていう。夫婦間もだが何より驚いたのが息子と父親が最初っから最後まで絆があるところ。大体思春期のお年頃の息子と父親とは仲が良くない印象ばかりの作品が多かったため今回のこの作品でえぇえ、優しい!!!2人とも凄く心が綺麗で優しいんだなと思った。因みに主人公クリスチャンは最後までヒーローすぎて知識だけじゃないんだすごぉっともなった。ただ妻イドゥンの元へ一緒に残ってくれてたお客様の夫婦のうち妻が呆気ない終わりなのは悲しかったなぁ。因みに今日まで公開されていたので急いで視聴した作品。
1905年にノルウェーのフィヨルドで岩盤崩落による巨大津波が発生した時の映像がテレビで流れる。この辺一帯の岩盤は世界的にも珍しいほどに不安定でありまたフィヨルドで巨大津波が起きるのは時間の問題だった。津波警戒センターで働いている地質学者のクリスチャンは観光ホテルの「ホテル・ガイランゲル」で働く妻イドゥンと息子ソンドレ幼い娘ユリアの4人暮らし。一家は複雑に入り組んだ入り江を壮大な山が取り囲むガイランゲル・フィヨルドに住んでいるが山に詳しくて有能なクリスチャンは石油会社に引き抜かれて転職することになり家族で都会に引っ越すことが決まっている。クリスチャンは新しい新居はスマホで玄関の鍵をかけられると嬉しそうに話す一方でどこかまだ迷いを捨てきれずにいた。
クリスチャンが津波警戒センターに出社すると仕事仲間のアルヴィド、ヤコブ、マーゴット達みんながクリスチャンが去るのを惜しみケーキでお別れ会を開いてくれる。その後クリスチャンがデスクの片付けをしていると観測ルームから異常を知らせる警告アラームが聞こえてくるので行ってみる。山の地下水の水位が下がって通信が途絶えていることが分かるが山のライブ映像だと特に異常は見えずきっと接続不良だろうという事になった。しかしうるさいからアラームを切れと言うアルヴィドの横でクリスチャンは地下水の観測データ画面に見入って無言になる。アルヴィドに「こっちはいいから荷造りしろ」と言われて帰宅したが帰宅後も地下水のデータが気になってパソコンを見ているクリスチャン。イドゥンは「センターを辞めたんだからもう山の心配をしないで」と言いクリスチャンは荷造りを手伝うことに。
外のゴミ捨て場にセンターの仕事のデータ書類を全部捨てているとソンドレが海岸でぼんやりとしている姿が見えたため話をしに行く。「ここが好きだ。ガイランゲルは世界の中心じゃないけど安心できる。故郷だ」と言うソンドレに「つらいのは分かる。だがこれが家族にとって最善の選択だと思う。難しい決断をするのも人生の試練だ」と語るクリスチャン。「先が見えなくて不安なんだ、また数年後に引っ越すかもしれない。この国は山だらけだからね」と言って家に戻るソンドレ。友人のトーマス一家が別れの挨拶に来て和やかに話をしイドゥンだけ最後のホテルの仕事があるために残りクリスチャン達はフェリー乗り場に出発。車の中でフェリーが来るのを待つ間、助手席でソンドレがスマホのジェンガゲームをやっているのを何となく見るクリスチャン。不安定になって崩れるジェンガ。その直後に車窓から見える山肌から水が滴っているのを見てふとある考えが浮かび道を引き返して津波警戒センターに向かう。訳が分からない様子の子供達を車に残し「すぐに戻る」と急いでセンターに入っていくクリスチャン。
その頃イドゥンは勤務先であるホテル・ガイランゲルに向かっていた。到着するとホテルのロビーは大型バスで来た観光客で混雑していたためすぐに接客の仕事を開始。クリスチャンはセンターのスタッフを集めて地下水の水位が下がった理由を説明。ファイルを数冊積み上げて地層に見立て「山っていうのは地層が積み重なってできてる。我々の試掘孔はそこを貫通してる。地下水が減ることはない。違う層に流れたんだ。それが摩擦を生み地層を揺らすこともある」とファイルの層をズラす。「ズレが大きくてケーブルが切れたのかも。山の重みが加わってそのズレが大きくなったら・・・岩盤が崩落する」と言いながらファイルの山を大きく崩す。早速クリスチャンとヤコブはヘリコプターでフィヨルド観測ステーションへ向かう。その頃なかなか戻ってこないクリスチャンに困ったソンドレ達はイドゥンに連絡をしていた。
クリスチャン達は山の亀裂からロープを使って内部に降りていき観測地点のケーブルを確認しにいく。2か所確認してみたが両方ともケーブルが切断されていた。本当に山の地層が大きくズレてしまっているのではと愕然とするクリスチャン。クリスチャンはセンターに戻ってケーブルを見せ「不自然なちぎれ方だ。動きが起きているはずだ」と言うがアルヴィドは「それは俺たちがこれから新しく穴を掘って確認する」と言う。クリスチャンは「穴を掘る?正気か?岩盤が崩落したらどうなると?海抜80メートルまで津波にのまれる。たった10分でガイランゲルは消える!」と必死に訴えるがアルヴィドは苛立ちながら「どうしろって言うんだ?警報を鳴らすか?パニックが起きて観光客が来なくなるぞ」「毎度のように警報を鳴らせば本当に危険な時に逃げてもらえなくなる」と言う。「ならどうする?」とクリスチャンが尋ねると「警戒態勢を取り24時間山を監視する」と言うアルヴィド。クリスチャンは呆気に取られながらも他のスタッフ達にも意見を求めるがみんなアルヴィドに同調しマーゴットに「少し落ち着いて」と言われてしまう。アルヴィドに「ケーブルが切れてた以外は山に変化はない。静かなもんだ」と言われてクリスチャンも納得し「そうだな・・すまない。考えすぎだろう」と謝ってセンターを出る。車に戻ると子供達の姿はなく「ママに電話して」というメモが残してあった。「やっちまった」と呟いて急いでホテル・ガイランゲルに向かうクリスチャン。
ホテルに着くと子供達はロビーにいた。イドゥンは「正気なの?子供達をおいて仕事に行くなんて。仕事は辞めたでしょ」と怒る。ひたすら謝りながら「だが悪い予感が・・」と言うクリスチャン。イドゥンは「今日は発てない」と言い今夜はみんなでホテルに泊まって明日発つことに。ユリアが「おうちで寝たい」と言いもう家は空っぽだったがクリスチャンはユリアと家に行って眠ることにした。クリスチャンはソンドレも誘うがホテル従業員のビベーケに気があるソンドレはホテルに泊まることにした。イドゥンはソンドレを客室に案内し仕事に戻る。クリスチャンとユリアは家に着き引っ越しで処分したゴミからマットレスとイスをまた引っ張り出して眠ることに。ユリアが眠った後イドゥンに今日は悪かったとメールをするクリスチャン。ホテルのロビーにいたイドゥンはそのメールを目にした後ふとデスクに置いてあった災害時のマニュアルを取り出して開いてみる。「津波危険地域」という注意書きと津波到達による被害予想地図ホテル内にある地下シェルターの案内図を眺めるイドゥン。アルヴィドとヤコブは山の観察をするためにフィヨルド観測ステーションにいた。クリスチャンとケンカ別れのようになってしまったことを悔やむヤコブ。「1年以内に戻るさ。山に魅了された者は離れられない」と言うアルヴィド。ソンドレは部屋でテレビを見る事にも飽きスケボーを片手に部屋を出る。廊下で気になっている従業員ビベーケとすれ違いドキドキしながら挨拶を交わした。その後、地下シェルターへ向かうドアを発見して階段を降りていき地下通路でヘッドホンで音楽を聴きながら思う存分スケボーを走らせるソンドレ。
その頃、津波警戒センターの観測ルームでは新たな異常を感知していた。山が見える窓際で眠っていたクリスチャンは、ふと目を覚ます。津波警戒センターにいたマーゴット達はアルヴィドに連絡をして「おかしな話だけど山の岩の隙間が収縮してるみたい」と言うとアルヴィドは「まさか。もう一度データを精査してくれ」と言い念のためヤコブと山に確認しに行くことに。なにか胸騒ぎを感じてベランダに出て山を見つめるクリスチャン。アルヴィドとヤコブは山の亀裂から入ってロープで岩の隙間に降りていきマーゴット達がその様子をモニターで確認。クリスチャンはセンターに電話をかけて「問題ないか?」と聞くとマーゴットが「妙なデータを確認中よ。岩の隙間の収縮が確認できたの」「何かのエラーだと思うけど、アルヴィドたちが確認に行ってるから大丈夫よ」と言うと「そうか」と答えて一旦電話を切るクリスチャン。しかしクリスチャンは何か引っかかるものを感じゴミ捨て場に捨てたデータ書類を探しに行く。アルヴィドとヤコブが調査を続けていると一瞬、地震が起きる。クリスチャンは鳥の大群が飛び立っていくのを見て急いで書類を持って家の中に入る。測定器C6の部分がこの1時間で2.6cmも収縮していることが分かり「クソッ」と呟くアルヴィド。C7も念のために調査することになりヤコブが進むがロープが邪魔になってカラビナを外してしまう。クリスチャンは過去のデータを見ていくうちに「岩盤崩落」という文字に行き着き急いでマーゴットに電話をかけてアルヴィドの無線に繋いでもらう。クリスチャンが「今すぐに作業をやめてそこから逃げるんだ。過去の崩落事故を調べたんだ。崩落前に岩盤の隙間が収縮してる。現在と同じ現象だ」と告げる。
その時大きな揺れが起こって岩が崩れ落ちヤコブの足が挟まれてしまった。アルヴィドが助けに向かうが山の揺れが大きくなって岩の隙間がどんどん狭くなっていきアルヴィド達は叫び声をあげる。センターのデータは地下水の水位があちこちで下がり始めたことを示して警告アラームが鳴り続けていた。電話でそのただならぬ様子を聞いていたクリスチャンは巨大津波が来ることを察知し「マーゴット、警報を」と指示。アルヴィドも「緊急警報を鳴らすんだ。今すぐ鳴らせ、急げ!」と叫びマーゴットは緊急警報ボタンを押した。サイレンを思い出すぅ…
ガイランゲルの村に津波の緊急警報のサイレンが鳴り響きクリスチャンの家にもホテル・ガイランゲルにいるイドゥンのところにも警報音が聞こえてきた。アルヴィドは「お前は生きろ」と自分のカラビナをヤコブに繋ぐ。その直後、山が大崩落を起こしアルヴィドは崩れてくる大量の岩石と共に落ちていってしまう。岩石に耐えながら「アルヴィド!」と叫ぶヤコブ。崩落した大量の岩石が雪崩のように海に流れ落ちどす黒い波が大きく盛り上がっていく。センターの観測データの通信は全て途絶え巨大津波の到達まで残り10分という表示が。クリスチャンは地震に怯えるユリアを抱き締めながら腕時計のタイマーを10分にセットする。
イドゥンはビベーケに「10分よ。10分しかない。お客様を外に誘導して。バスの運転手も捜して!」と指示し客室のドアを叩いて大声で避難を呼びかける。クリスチャンはユリアを連れて車で避難を開始し運転しながらイドゥンと電話で話す。そっちに迎えに行くと言うクリスチャンに対し「ダメよ。お願いだからユリアを安全な場所に連れて逃げて。約束して」と言うイドゥン。イドゥンは宿泊客達と一緒にバスで逃げると言う。クリスチャンは苦悩しながらもこのままユリアと逃げることを約束。その頃、巨大津波がガイランゲルに向かい始めていた。ホテルのロビーではバスの運転手が運転を拒否したりと状況を飲み込めない人々が混乱していた。イドゥンは海抜80メートルに達する巨大津波が来ることを告げて避難を呼びかけみんなバスに乗り込み始める。その時イドゥンはソンドレがいないことに気が付き急いで捜しに行く。車で逃げていたクリスチャンですが渋滞で立ち往生してしまう。パニックになりそうな気持ちで考え込みながら腕時計のタイマー(残り4分30秒)と海抜計(現在海抜47メートル地点)を確認しユリアに「走ろう」と言って車外に出る。クリスチャンは走りながら他の車の人達にも「走れ!車から出て!」「高い場所を目指せ!みんな急ぐんだ!」と叫びみんな車から出てクリスチャンの後に続いて走り出す。イドゥンはソンドレを探すがどこにもいない。宿泊客をバスに誘導しているビベーケのところに戻って聞いてみると「夕方に廊下で会ったきりよ」と言われる。ビベーケが「急いで逃げないと」と止めても「息子を見捨てられない」とまたホテルに入っていくイドゥン。その様子を見ていた宿泊客の女性マリアも「捜すのを手伝うわ」とホテルに入ろうとする。マリアの夫であるフィリップが「バスに戻れ」と言うが「一緒に来て!」と怒鳴られ急いで一緒に捜しに行くことに。
「間に合わないわ」と呆然とするビベーケ。クリスチャンとユリアは大勢の人々と共に必死に入り江脇の坂道を登り続けていた。クリスチャンが腕時計を見ると海抜57メートル地点。ユリアを抱き上げて無我夢中で走り続けるクリスチャン。途中で友人のトーマス一家がまだ車内にいるのを見かけ「トーマス逃げるんだ!」と呼びかけトーマス一家もクリスチャン達と一緒に走って逃げることに。トーマスの車の前に停まっていた車のドライバーもみんなが走って逃げていることに気付いて慌てて車外に出て逃げるがブレーキをきちんとかけずに出たために車がバックしてしまいトーマスの妻アナが車と車の間に足を挟まれて動けなくなってしまう。痛みに叫び声を上げるアナ。その時、巨大津波が轟音が響かせながら入り江に入って来るのが見え人々が悲鳴を上げる。クリスチャンはトーマスにユリアを託して「逃げてくれ」と言いアナのところに行く。急いで車を発進させて動かし足を痛めたアナを支えながら一緒に逃げる。後ろを振り返ると現実とは思えないような巨大津波がどんどん迫って来るのが見える。怖すぎる。アナを連れてこのまま走り続けても逃げ切れないと感じたクリスチャンは乗り捨ててあった車の中にアナを押し込み「私を置いて逃げて!」というアナの言葉を無視して自分も運転席に乗り込む。アナにベルトをするように言って自分もベルトをしサイドミラーで近付いて来る巨大津波を凝視するクリスチャン。クリスチャンとアナは決心したように見つめ合って手を繋ぎアナはギュッと目を閉じる。その瞬間多くの車を巻き込んだ巨大津波がクリスチャン達が乗る車を襲い衝撃で後ろの窓ガラスが割れて水が流れ込む。車は津波の中で様々な物体に衝突しながら翻弄されていきクリスチャンとアナは、なす術もなく水と衝撃に耐え続ける。フロントガラス越しに鉄くずが向かってくるのが見え咄嗟に身を守るクリスチャン。イドゥン達はソンドレを捜し続けますが見つからない。このままでは自分達の命も危ないと感じたフィリップが捜し続けるイドゥンとマリアに「今すぐバスに戻るんだ!」と怒鳴り2人は立ち止まる。その時マリアが「・・・物音がする」と地下通路のドアを開けた。イドゥンが地下への階段を駆け下りてスケボーをしていたソンドレを見つけ「逃げるわよ!」と訳が分からない顔をしているソンドレを連れ出す。4人がホテルの外に出るとホテルの高さを遥かに超える巨大津波が目の前まで来ていた。
イドゥンが「地下シェルターに!」と叫んで一斉に駆け出すがマリアが巨大津波を見て足がすくんで動けなくなってしまう。イドゥンが「マリア!来て」とマリアの手を引いて駆け出しホテルの中へ向かう。ロビーを走り抜けたところで津波が入り口を破壊しながら押し寄せ4人は叫び声を上げながら必死に地下シェルターへ向かう。先に着いたフィリップとソンドレが地下シェルターのドアを開けて待つがイドゥンとマリアは津波に追いつかれてしまう。イドゥンは地下シェルターのドアにしがみ付いて入ることが出来たがマリアはそのまま流されていってしまう。流されていくマリアの名前を叫び続けるフィリップだがその間、地下シェルターのドアからすごい勢いで水が入ってきてしまう。イドゥンは「ドアを閉めて。お願いよ」と言うがフィリップは「妻が外にいる!」とドアを開けたままマリアの名前を叫び続ける。津波の水はすでに腰の位置まで上がってきていたためイドゥンは「閉めないと3人とも死ぬわ。諦めて。もういない」と言い聞かせてドアを閉める。なんて残酷な…閉めると電気が消えてしまいシェルターは闇に包まれる。
クリスチャンは横転した車内で意識が戻り隣を見てみるとアナは鉄くずが胸に刺さって亡くなっていた。クリスチャンはショックを受けながらもシートベルトを外して外に這い出る。辺りを見回してみると津波で流された瓦礫の山。呆然としながら「ユリア・・・」と呟いて歩き出すクリスチャン。津波警戒センターではマーゴット達が記録を取り続けていた。すると「誰か・・・応答を」と無線連絡が入る。ヤコブからだった。マーゴットが「ヤコブ?無事なの?」と答えると泣き出すヤコブ。「アルヴィドも一緒?」と聞いても泣き続けるヤコブの様子を察し涙を流すマーゴット。クリスチャンは人々が避難している高台でユリアと会うことができた。ユリアを抱き締めながらトーマスと顔を合わせ無言でアナが亡くなったことを知らせる。イドゥンはシェルター内で懐中電灯を見つけて照らしてみるとフィリップが悲しみに暮れていた。イドゥンはフィリップに寄り添い静かに肩に手を置く。クリスチャンはイドゥンに電話をかけますが繋がらない。近くで電話をしている男性の会話を聞き相手はどこに避難しているのかと尋ねると男性は「ガイランゲルの丘だ。山小屋に大勢いるらしい」と答えた。そこにホテルのバスがないか確認してほしいと頼むがバスは見てないと言われてショックを受ける。心細そうに「ママたちは?」と聞くユリアにクリスチャンは動揺を隠しながら「パパが捜してくる。ママが心配しているはずだ。安心させてあげないと」と語りかけトーマスにユリアを託して一人で捜しに行く。イドゥンはソンドレとシェルターのドアを少し開けてみたが水が勢いよく入ってきてしまい水は引いていない状況だと分かってまたドアを閉めた。天井に通気口があるのを発見してイドゥンが覗いてみるが狭い場所の奥には換気のファンがありパイプ管が何本か繋がっているだけで逃げることはできない。その時ドアが軋む音が聞こえてきて見てみるとドアの隙間から水が入ってきていた。みんなは急いで服でドアの隙間を埋めようとするがフィリップは「どうせ助かりっこない」と投げやりな態度。イドゥンがフィリップを落ち着かせようと「水位が上がればドアが開きやすくなるはずよ」と言うと「今ドアを開けられなきゃ死を待つだけだ。チクショウ!全員ここで死ぬんだ」と怒鳴るフィリップ。
クリスチャンは闇と静寂に包まれた瓦礫の中を進みバスを捜す。「誰か!」と叫びながら瓦礫の山を登って歩いていると足元でミシッと音がした。しゃがんで見てみるとクリスチャンが歩いていたのは津波に襲われて横転したバスの窓ガラスのところだった。愕然としながらもバスのドアを開けるクリスチャン。宿泊客達もバスの運転手もビベーケもみんな亡くなっているのを見てショックを受けながら「イドゥン!ソンドレ!」と叫ぶクリスチャン。バス内で2人を見つけられなかったクリスチャンはホテル・ガイランゲルに向かう。
地下シェルターに浸入した水は天井近くまで増してしまい3人は水面から顔だけ出している状態だった。3人で水中に潜ってドアを開けに行くがドアの向こうに岩があってドアが開かない。3人は元の場所に戻るが水は更に増えてしまっていたため天井の通気口へ向かって泳ぐ。イドゥンとソンドレが通気口に顔を出しパイプに掴まって息をついているとフィリップも来たがパニック状態でソンドレにしがみついてくる。イドゥンが驚いて「どうしたの?放してあげて」と言ってもフィリップは「死にたくない!」と凄い力でソンドレやイドゥンにしがみつき頭を水中に沈めてくる。イドゥンが「お願いだから暴れないで。大丈夫よ」とフィリップの体を押さえて落ち着かせようとするがフィリップはソンドレを深く沈めたまましがみつく。その分自分が浮き上がれるからだ。イドゥンは「息子を放して!」と必死に止めようとするがフィリップは「黙れ!」と言ってソンドレを沈めたまま離そうとしない。ソンドレの命の危険を感じたイドゥンはフィリップの頭を押さえて水中に沈め両足で体を押さえつけて動けないようにする。フィリップはもがき苦しんで手を離しソンドレは水面に上がってきた。イドゥンは「見ちゃダメよ」と言ってフィリップを足で押さえ続けやがてフィリップは息絶える。呆然とするイドゥンとソンドレ。なんてこった…
クリスチャンはホテル・ガイランゲルの中に入るがホテル内は津波の痕跡で荒れ果てていた。イドゥンとソンドレの名前を大声で呼びながら捜すクリスチャン。地下通路へのドアを見つけたが地下は完全に水に浸かり階段の上の方まで水が来て降りられない状態。この状態の地下には誰もいないだろうと考えたクリスチャンは上の階に行く。ソンドレのバッグを見つけたクリスチャンはイドゥンとソンドレの生存は絶望的だと感じ悲しみのあまり泣きながら棒で壁を叩く。クリスチャンはたまたま壁に取り付けてあるパイプ管の部分を叩いていたがその音がイドゥンとソンドレが掴んでいるパイプの方にも伝わってきた。イドゥンとソンドレは音を聞いて誰かがいると気が付きパイプを手で叩きながら大声で助けを求めるがクリスチャンの耳には届かない。イドゥンは水中に潜って大きなスパナを見つけてきてスパナで思いきりパイプを叩く。クリスチャンは「ガンガンガン!」と誰かが音を鳴らしていることに気が付き音が響いてくるパイプの方に耳を近づける。クリスチャンが棒でパイプを叩きイドゥンとソンドレも後に続いて音を鳴らしてみるとまたクリスチャンがパイプを叩いて音が響く。誰かが自分達に気付いて反応してくれた嬉しさで笑い出すイドゥンとソンドレ。ホッとしたのも束の間、通気口の奥にあるファンから大量の水が流れ込んできてイドゥンとソンドレを襲う。
クリスチャンは急いで地下通路へのドアに行き大きく息を吸って水の中に飛び込む。泳いで進んでシェルターのドアを見つけドアの前にある岩を取り除く。ファンから流れて来る水の勢いは止まらずこのままでは死ぬだけだと感じたイドゥンは望みをかけてもう一度ドアを開けに潜る。ドアを必死に押すイドゥン。ドアの向こう側でクリスチャンが岩をどかし力いっぱいドアを開ける。ドアが開くと突然目の前に愛する人がいることにお互いに信じられない思いを感じながら一瞬抱き締め合いクリスチャンはイドゥンに地下の入り口に向かうように合図する。イドゥンが入り口の方へ泳いで行く後ろ姿を見てからソンドレの方へ向かうクリスチャン。イドゥンは無事に地下の入り口に辿り着き大きく息をつく。よく息がもつなぁ凄い。クリスチャンは通気口まで泳いでソンドレを見つけ「見つけたぞ!」と強く抱き締めた。そしてよく見つける。「パパが来たからもう何も心配ないぞ。きっと助かる。ママが外で待ってる。最後の力を振り絞って泳ぐんだ」と言うがもう気力も体力も限界になっていたソンドレは首を横に振る。クリスチャンが「やらなきゃダメだ。頭より上に水が来たら窒息死することになる。そんなのパパもママも許さない。ユリアも待ってる。みんなお前を必要としてるんだ」と言うとソンドレは頷く。「パパが先に行くからついて来い。ずっと見てるから安心しろ。行くぞ」と言い2人で1,2,3で大きく息を吸い込んで潜り泳ぎ始める。しかしシェルターのドアを出たところでソンドレの息が続かなくなってしまう。クリスチャンはソンドレのところまで戻ってソンドレの口に息を吹き込み入り口の方へ向かえと合図を送る。ソンドレはまた泳ぎ始めるが今度はクリスチャンの息が限界になり前に進めなくなってしまう。ソンドレはイドゥンのところに辿り着くがクリスチャンが来ない。イドゥンは地下に飛び込んで泳いで行き意識を失って漂っているクリスチャンを見つける。
クリスチャンを連れて入り口に辿り着き心肺蘇生をするがクリスチャンの目は見開いたままで意識が戻らない。途中でソンドレが替わって心肺蘇生をするがイドゥンはソンドレの手に触れて心肺蘇生を止めさせクリスチャンの瞼を静かに閉じた。ソンドレは悲痛な表情をしながら「こんなのダメだ」と言いまた心肺蘇生を始めた。驚いた顔でソンドレを見るイドゥン。ソンドレは「パパ!戻ってきて!頼むよ」と叫びながら力強く心肺蘇生をする。するとクリスチャンはブハッ!と水を吐き出して意識を取り戻した。無言で強く抱き締め合う3人。ユリアがいる高台には救援隊が着き人々はひとまず落ち着きを取り戻しつつあった。ユリアはパパとママとソンドレが歩いて来るのを見て駆け出す。クリスチャンは涙を堪えながらみんなで抱き締め合い歩き出した。
ローズまりぃ

ローズまりぃ