いろどり

ソング・オブ・ラホールのいろどりのレビュー・感想・評価

ソング・オブ・ラホール(2015年製作の映画)
4.1
パキスタンのシタールやタブラなどの伝統音楽家たちが、伝統を残すためにジャズに挑戦すべくサッチャル・ジャズ・アンサンブルを結成。ニューヨークでジャズバンドとのセッションが決まるも、まったくまとまらないリハーサルに手に汗にぎるドキュメンタリー。


南アジアで千年以上芸術の中心だったパキスタンの街ラホールが舞台。イスラム化が進み音楽は罪深いものとされ、パキスタンの芸術は衰退してしまった。インドでも伝統音楽は衰退しているけど、音楽や芸術自体を否定するパキスタンのイスラム体制は残念でならない。

それでも伝統音楽を愛するミュージシャンたちが、イギリスから入ってきたヴァイオリンとセッションしたり、ジャズを取り入れて新しいかたちを模索していく姿は応援したくなる。シタールやタブラで奏でる「テイク・ファイブ」はエキゾチックでカッコ良い!

ニューヨークでの初公演はもうてんやわんや。ニューヨークに着いてからもみんなの表情は固い固い💦メンバーの緊張がこちらにまで伝わってくる。ニューヨークのジャズバンドとのリハーサルははっきりいってめちゃくちゃ。私が責任者だったら胃痛が止まらない。うまく演奏できずにシタール奏者が脱落し、代わりの奏者を前日に見つけてくるというドタバタぶり。本番はもう、行き当たりばったりだ、とにかくみんな楽しもう!というスタンスで行くしかないと思っていたら、なんとしっかりまとまっていた!

これはリハーサルでうまくいかないところばかり集めた編集の妙。やられた!
どこから見つけてきたのか前日に加わったシタール奏者は優秀な演奏をみせるし、不安な表情を隠しきれないニューヨーク勢が演奏がキマるごとに笑顔になって、パキスタン勢がそれに応えるように見事な演奏を披露する。
楽しい!感動!
音楽は宗教も政治も越えて1つになれる。
楽しいドキュメンタリーだった。
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