あかっか

わたしは、ダニエル・ブレイクのあかっかのレビュー・感想・評価

4.6
2018.6.21 鑑賞

病気により医者から働くことを止められた主人公のダニエル・ブレイク。国の援助の手続きをしようとするが、複雑な制度の上にお役人は人としての扱いをしてくれない。そんな中、同じく役人と揉めているシングルマザーのケイティと出会う。

『万引き家族』を観た直後ということもあり、やはりこの作品にも社会や制度の中で『黙殺される人たち』について深く考えさせられた。一体国や役所の弱者救済制度というのは『誰の為』のものなのか。確かに、全てのケースに適応するのは困難だろうし、悪用を防ぐ為にもある程度の壁は必要。だがしかし、本当に助けを求める人たちに対し、パソコン使って登録して面接を何件以上、書類を提出して・・・そんな余裕ある?

練られた脚本と素晴らしい俳優陣で徹底的にリアルに現代を切り取る。タイトル通り「オレはオレ!」つまり十把一絡げにして切り捨てるな、と。ダニエルは破天荒でもなければエリートでもない。実直に生きてきたいわば『普通の人』。故に感情移入できるし、徐々に追い詰められていく生活に強い恐怖を覚える。果たして自分だったら・・・。

淡々と描きつつもしっかりとしたメッセージを心に残す作品。お役所に冷たくあしらわれた経験のある方は感情移入度120%でしょう。
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