向日葵

ハクソー・リッジの向日葵のレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.8
今まで観てきた戦争映画の中で一番人間の本来持っている「優しさ」や「愛」、そして戦争のいわゆるリアルで残酷な「グロテスク」な部分が表現されていた。

まず前者の「優しさ」「愛」
主人公のデスは、神を信じ聖書を持ち歩く青年。戦争という殺し合いの中で武器を持たず衛生兵として戦場に行くことを決める。初めは周りから虐められ理不尽な暴力に苦しめられる。除隊を勧められるも志を曲げず戦場へ。「もう1人…あともう1人……」見捨てることはもちろん、味方同士の殺し合いも起こりうる戦争の中で、武器すら持たず無一文で、夜な夜な走り回り仲間を助け出した彼は英雄となる。「人を救う」ということ。そして「優しさ」と「愛」を信じ行動出来る彼が1番強く「英雄」なのだ。と何十年たった今の私たちにも受け継がれることとなった。

そして「グロテスク」
今まで戦争映画は数多く見てきたが、その中でも「蛆虫」「ネズミ」「火炎放射器」「手榴弾」「切腹」「自殺」そして身体が破裂しておもむろになる「腸」や「切断部分(切り落とされた手や足)」。というワードが多く映像とされ、映し出されている場面が多かった。これが戦争というノンフィクションな部分であり、後世に引き継ぐ為にも目に焼き付ける必要が私はあると思う。しかしグロテスクなものが苦手な方は注意が必要。私も目を背けながら所々目を細めて見てしまいました。

また今回は第二次世界大戦での最後の決戦沖縄が舞台となっていて、敵国は日本。少し複雑だが、一方的に日本が悪者として描かれている訳では無い。日本兵たちの、白旗を振りながらも最後の最後まで抵抗する姿や責任を取り切腹する姿。絶望し首吊りをした姿など、味方国も敵国も全力であり、身体をはって必死に戦っている姿もちゃんと描かれている。

敵も味方も関係なく、自国には待ってくれる人や愛する人がいて、大切にしているものがある。無差別な戦争という殺し合いは何も生み出さない。
私たちが本来持っている「愛」「優しさ」を最後まで信じ生きていこう。そして連鎖を生み出していく。それは戦争や争いを起こす事よりも難しいかもしれない。けれど自分の中でしっかりと忘れず歩んでいれば「英雄」になることができる。そう思う事が出来ました。

残酷な戦争映画ですが、最後は涙が止まらず、、、しかしデスの活躍を見終わりどこか心が暖かくなった気がしました。
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