ベルサイユ製麺

ホワイト・ラバーズのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

ホワイト・ラバーズ(2016年製作の映画)
3.3
ホワイトチョコ系のお菓子か短冊形CDシングルみたいな邦題に観る気がごっぽり奪われますね…。原題『トゥ・ラバーズ・アンド・ア・ベア』…ベア?

北極圏の小さな街に暮らす恋人たち。ローマン(デイン・デハーン)とルーシー(タチアナ・マズラニー)。ローマンはどこか影がある青年で、1人でふらりとこの街に現れたようです。ルーシーはアクティブで聡明な女の子といった感じですが、時折誰かの影に怯えたようになります。
お互いの存在を心の支えにした2人の平穏な暮らしは、ルーシーの進学の話で様相を変え始めます。一緒に街を出ようと提案するルーシー。ローマンは断ります。彼にはルーシーが向かう街には行けない事情がある様なのです。徐々に精神のバランスを崩したローマンはアルコールに依存し、とうとう遠方の更正施設に収監されてしまいます。ルーシーは有り金を叩き、ローマンに会いに行きます…。
前半の流れを全部書いてしまいました。ネタバレがどうとかって作品じゃないので許して下さい。
以前から思ってましたが、デイン・デハーンってガンダムの登場人物みたいな名前ですね。装飾の美しいモビルスーツに乗っていそうです。

心に傷を負った2人の若者の、繊細な心がぶつかり合う前半。後半は2人の逃避行が描かれます。ドグマ作品の様に無機的(風)に繋がれる編集はかなり好みなのですが、前半の究極に変化に乏しい雪に覆われた風景と、動きの小さなドラマは眠気を誘います。こんな所で寝たら、天使たちが半透明の自分をお空に連れ去ってしまうなぁ…。
後半は若干のサバイバル的な展開や、2人の過去の仄めかしなども有って、ちょっと心が踊ります。…そして、フィナーレ。もう、凄く好き。美しい。永遠に一つに封じ込められた、彷徨える魂たち。ここだけでスコアがグンと上がってますよ。
ラストシーンのシーンエンスにボンヤリとした既視感があるのですが、思い出せません。もし思い出せたらコメント欄にでも書いておきます。
ところでベアですが…。ここがこの作品の最大のチャームポイントだと思いますので、まあ気になったら観てみて下さい。てっきりイマジナリーフレンドみたいなものだと思ってたのだけど…。やっぱり北極ではポーラベアは天使なのだなぁ。

やっぱりデハーン様専用モビルスーツは紫系の色で、突くタイプのビームサーベルを持ってると思うのですがどうですかね?(と言われても…)