遊想陸

もずの遊想陸のレビュー・感想・評価

もず(1961年製作の映画)
3.5
母娘の近親憎悪とでもいうべき嫉妬や依存が全編激しくぶつかり合いながらも、最後は切っても切れない強い絆を感じさせる、なんとも切ない映画。娘はまたもや暗い演技の有馬稲子で、母親は陽気でヒステリーな淡島千景。奇妙な抑揚で笑わせる乙羽信子や底知れず怖い山田五十鈴も登場して、さながら名女優の演技合戦といった感もある。ただし、何故この母娘がかくも破滅的に対立するのかがいまひとつ描かれていないので、共感するよりも他人の喧嘩を見せられているような戸惑いも感じる。淡島千景に、まさに死が訪れるシーンの静かな怖さは秀逸。
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