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ラストレシピ 麒麟の舌の記憶のEDDIEのレビュー・感想・評価

3.4
孤高の奇跡の舌を持つ料理人・佐々木充を二宮和也が好演。中国の要人から依頼され幻のレシピの謎を解き明かす。現在→過去→現在のパート構成で伏線を張り回収する展開は見事だが、丁寧すぎて結末が予想できたのが残念。感情を忘れた佐々木の心境が変化していく模様には感動を覚えた。

前々から観たかった作品の一つでしたが、良かった点と悪かった点がわかりやすくもある作品でした。
まず役者陣の演技は申し分なし。嵐の二宮くんはジャニーズの中でも演技力に定評があり、私も好きな俳優の1人ですが、仏頂面の冷たい料理人という前半から心変わりしていく後半の変化を巧みに演じていて流石だと思わされました。
佐々木の理解者の柳沢健を演技派の綾野剛が好演。あくまで脇役という立ち位置ながら、物語の重要なところで存在感を示しました。彼なしには本作は語れないでしょう。
過去パートの主人公である山形直太朗を西島秀俊。良くも悪くも彼の安定感が吉と出たパターンですね。基本的に善人としての描かれ方で、彼の人の良さというのが生きていた印象。個人的には一緒に“大日本帝国食菜全席”のレシピを考案している楊晴明を糾弾するシーンがハイライトですね。ここは山形の人の良さや信頼した人間を信じる気持ち、状況を把握して瞬時に最適な手段を取る戦略家としての一面が垣間見れたシーンでした。

また山形の相方として中国人2人がレシピ作りに従事しますが、前述した楊晴明役の兼松若人と笈田ヨシの違和感ない中国語訛りの日本語の演技がとても良かったです。

全体的に盛り上がりには欠ける印象ですが、一つ一つの謎が解明されていく模様は一種のミステリーとしても楽しめると思います。だからこそ丁寧に作りすぎてしまった印象がついて回り自分にはピッタリとは合いませんでした。所々感動も覚えるシーンはあったんですが、結末も想像できてしまい、予想の範疇を超えてこなかったという点でマイナスポイントです。

ただ日本映画としては日本と中国の2つの国を舞台にしたスケールの大きさや色鮮やかな料理の数々に食欲を掻き立てられることもあり、十分に楽しめる作品だと思います。

※2020年自宅鑑賞219本目
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