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アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男のtmのレビュー・感想・評価

4.1
題材・演出がとてもいい!
渋い、地味だけど最高に熱くて、痺れるシーンのなんと多いこと!

特に、テレビ出演のシーンが一番好きです。
若者に「我が国の憲法は誇れるものでは?」
と聞かれて、バウアー検事長が答えたセリフにハッとしました。

「我々ドイツ人は、森や山々は誇れない。
 我々が作ったわけじゃないからだ。
 ゲーテやシラー、アインシュタインも誇ることはできない、彼らの業績は彼らのものだ。

 我々が誇るべきなのは、我々が行う善行だ。
 ドイツの雰囲気を決定づけるのは、
 父・母・子として毎日何を行うかだ。

 立派な憲法があるのは結構なことだが、
 大切なのは民主主義だ。」

さらにいえば、質の良い民主主義があることじゃないかな、と思った。

余韻の残るラストも個人的には最高で、
「私は私の仕事をする。」
身につまされたし、奮い立たされた言葉だった。

私も、日頃の生活や仕事のシーンで
「あんまり良くない気がするけどまぁいいか」
と、ナチスほどの悪行じゃないけど
なんとなく雰囲気に流されることもある。
税金は安い方がいいし、つい何かを小バカにしたり見下してしまうこともあるし、
上司の言う通りに仕事をしてアピールして評価を得たくなっちゃうけど、
それじゃ信念も正義感もどこにも無い。
アイヒマンと本質的には一緒だなと。

歴史を知って感動したらちゃんと我が身を振り返って、いまに生かしたいなと思いました。
よい映画だった。

 
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