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アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男のtheocatsのレビュー・感想・評価

4.0
見応え十分、元SS追跡ドイツ検事長の執念

史実ベースとのことで、フィクションパートがそれほどなさそうな印象。
勝手なドイツ映画的イメージでもある〝固さ”が存分に漲り、終始程良い緊張感が支配。
これが米国映画であれば検事側に対する暗殺の危機が忍び寄るという恐怖感が付きまとったであろうが、本作は最初の方でそれらしき場面が描かれたのみ。
※捜査陣の怪しい動きからあれはやはり自殺に見せかけた暗殺行為だったのだろう。



戦後12年以上経過したドイツでは国のトップにナチス残党が多数潜伏している状態。
よって本作主役の検事長が残党狩りに熱を上げても一向に何も進展しない。
そこにアルゼンチンからの手紙タレこみがあり、重要戦犯ルドルフ・アイヒマン発見の情報。
ドイツではどうにもならないと、なんとイスラエル・モサドにまずはアイヒマンを誘拐してもらい、次いでイスラエルからドイツへの犯罪者引き渡し取引を行い、ドイツにてアイヒマンを裁こうと画策。しかしそれはドイツに対する国家反逆罪を意味する。

果たして老検事長の執念は実現するのか? それともナチス残党権力層により阻止されるのか? そこに検事長の部下である検事の性的嗜好による過ちも絡めて筋を織りなしていく様はなかなか見応えがあった。

弱みを握られナチス残党から脅迫された検事が苦悩の末選んだ解決策は誠にあっけないものではあったが、過度にドラマチックとはしなかった演出が逆に潔く好ましく感じられた。


総評四つ星

012008
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