ものすごく貴重な映像だった。
私の祖父も京都で2世代に渡って万屋を営んでいて、私自身小さい頃は一緒に店頭に立つことがあった。
お店には様々な時間があった。お店を開ける時間、お客さんを待つ時間、お客さんが選ぶのを手伝う時間、頼まれた食品を準備する時間、世間話をする時間、お会計をする時間、お見送りをする時間。
今、もしあの時間が再び訪れたら、私は何をするだろう。多分スマホ触って終わりなんだろうな。
祖父は自分の代で店を閉じてしまった。近所に便利なスーパーやコンビニができたからだ。でもそこに祖父のような職人の手をした人はいない。
私たちが便利さと共に失ったものとは、何にも代え難い人間としてものすごく尊いものだったのではないだろうか。
この作品は、そんな今の時代が失ってしまった日常においての人と人とのぬくもりが、たくさん詰まっていた。