チスッッッ

ペルシャン・レッスン 戦場の教室のチスッッッのレビュー・感想・評価

4.0
ペルシャ人になりすまし、ナチス将校に架空のペルシャ語を教えることで処刑を免れたホロコースト生存者のお話。

ユダヤ人収容者の名前から架空のペルシャ単語を2840語も作り上げたジル。ナチスが退却する際、収容者の名簿をすべて焼却したのは有名な話だが、大殺戮の犠牲者たちの存在が無かったことにされることほど恐ろしいものはないなと。
本作は戦争時の「記憶」をテーマとしており、忘れ去られた「名もなきユダヤ人」をジルの記憶によって再び蘇らせることができたのではないだろうか。

また、ナチス側の人間ドラマを描いているのも一般的なホロコースト映画と違っておもしろかった。終戦後に抱いた夢、親衛隊同士の恋模様、ナチス側とは言え彼らも皆等しく人間であることを痛感させられる。(ラストより大尉の空港シーンの方が泣けちゃったのは、これのせいだと思っているw)

しかしそんな人間臭い彼らが、大量虐殺を遂行できるという現実。

世の中から争い事が無くなることはないだろうが、唯一私たちにできることは真実を目に焼き付け、記憶していくことなのだろう。