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一晩中のmochiのレビュー・感想・評価

一晩中(1982年製作の映画)
3.5
シャンタルアケルマンは「私、君、彼、彼女」に続き2作品目の鑑賞。いや、難しいわ。何かを解釈しようという姿勢が間違いなのかもしれんが。あと、この作品はちょっと長いかな。ブリュッセルの夜を描いた群像劇といわれているので、4組ぐらいのストーリーを描いていくのかと思いきや、それぞれの組について2回くらいしか登場せず、ほぼストーリーはないと言っても良い。雰囲気は大好きなんだけど、この手の映画は1時間以内に収めてほしい。扉、様々な色の服、階段が幾度となく登場し、モチーフとして機能しているんだと思うが、それぞれがなにを表しているのかを解釈するのは私の頭では不可能でした。先ほど書いたように、アイコンとして解釈しようという姿勢が誤りなのかもしれんが。もしそうだとすると、アケルマンは非常に優れた画を撮る監督である、というのが正当な評価なのかな。実際、これらのモチーフをふんだんに生かした画は素晴らしかったし、光の当て方もよい。静止画として保存したくなる画が沢山ありました。
あと、この時代で、セクシャルマイノリティも描いているのは流石ですな。具体的にメッセージを描いているわけではないのに、フェミニズムの文脈等で言及されることが多いのは、こうした点もあるのだろう。
音楽の使い方大好き。街中で流れている音楽である、という体はずっと崩されておらず、物語のいわば「外」からの音楽やbgmは存在しない。最後の2人が抱き合いながら、外の音楽で踊るシーンは良い。しかも別の男の話をしながらという。それを電話が遮ってしまうのもまた、好きです。
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