jinhee

オペレーション・クロマイトのjinheeのレビュー・感想・評価

3.0
朝鮮戦争映画を描いた映画としては、仁川上陸作戦に的を絞ったこと以外に正直目新しさは無い。
作戦執行時のスリル感や銃撃戦や戦場、カーチェイスの迫力はやはり韓国映画得意の部分で、劇場での見応えはそれだけで十分にある。
が、端役に至るまで背景を入れ込み過ぎて(その分どうしても泣けてはしまうのだが)、ブレを感じる。全登場人物を大事にしたかったのかもしれないが、そこは映画という尺ではメインであり南北朝鮮と米の縮図として、ハスク、ゲジン、マッカーサーの三名に絞って欲しかった。仁川上陸作戦を描くのに、マッカーサーについては描き込み不足さえ感じる。
この中途半端さがひたすら残念だった。

リム・ゲジン役のイ・ボムスが一際良かった。
全て戦争は業であり悲劇でしかないのは勿論だが、他国の代理で一国家が分断し、同一民族同士で敵対する点で朝鮮戦争は特異な戦争だろう。だからこそ、朝鮮戦争を描く時には、敵兵にも揺るぎない正義を持った存在であって欲しい。その点で、イ・ボムス演じるゲジンの威圧感と説得力がとても良かった。
前述内容に戻るが、ゲジンの描写不足は演者がボムスでなかったら、ただの敵の偉い人止まりだったはずだ。
(他の人物の描写量を考えるとボムスありきで計算したとは思えない)

北朝鮮のゲジンの部下も味のあるキャラクター揃いで、惜しむらくはこれが映画ということだ。
端役の描写を更に足して、連続ドラマとして観たい作品だった。
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