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デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり/ピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴットのJPのレビュー・感想・評価

3.9
自分の演奏会に来てくれた観客にはもちろん、道行く人や、たまたま同じ飛行機に乗る人に、「Hello! I am Daivid! What's your name?」と早口で距離を詰めてボディタッチしに行くあの姿。
いつから私たちは、隣人にこんなにも無関心でいられるようになってしまったんだろう。
隣人を愛する。知ろうとする。自己紹介して、名前を聞く。こんな徹底的な隣人愛を今まで見たことがあっただろうか。鑑賞中、そんなことを思い、涙が溢れて止まらなかった。

ずっと喋りながらとんでもない超絶技巧をサラリとやってのける、まさに天才。奇人。音楽の申し子。そんなデイヴィッドからもう100分間目が離せない。演奏のシーンは必見!
神がかった演奏中もさることながら、クリームやベジマイトをそのまま飲んだりするその普段の様子が、まーなんとも愛おしい!中身マジで7歳とかそれ以下。純粋さの塊。こちらも目が離せないし、そんな言動に対してギリアンおばぁが「返してきなさい」「それは飲むものじゃない」と半ば呆れながら、愛をもって彼に接する姿に、さらに頬が緩んでしまう。そんな素敵な作品でした。
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