SY3KR

タリーと私の秘密の時間のSY3KRのレビュー・感想・評価

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)
4.0
独特な視点で描き出される人間ドラマを得意とするジェイソン・ライトマンが、『ヤング≒アダルト』に続き、再びシャーリーズ・セロンとタッグを組んだ一作。

2人の子どもの世話をしながら次の出産の準備に忙殺されるマーロの毎日が、ストレスフルな描写過多で描かれていき、見ているだけでしんどい。学校の教師からカフェの店員まで、周囲の人間は全て敵のようで、女性に不親切な社会の縮図がまざまざと映し出される。

ジェイソン・ライトマンが妊娠した女性を主人公に据えるのは『JUNO』に続いて2度目だが、マーロが体験する一連の出来事の生々しさは、タッグを組んで長い脚本家:ディアブロ・コーディの実体験による部分が大きいと感じる。彼女もまた本作が公開された2018年、3人の子どもの母親だったからだ。

監督の登場人物を優しく見守る眼差しも相変わらず健在で、驚きの事実が明らかになる終盤の展開には自然と涙腺が緩んだ。ちょっぴり痛々しい今を生きる主人公が、過去の体験と向き合いつつ傷を埋め、より確かな未来へと歩き出す姿にはいつも勇気づけられる。

ファストフード爆食いで18キロも増量したシャーリーズ・セロンの名演も含め、わずか90分弱のランタイムではあるが、見どころの尽きない優れた一作だ。

⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:87%
・観客支持率 :74%
「本作はユーモアと生々しい正直さを見事に織り交ぜながら、現代の子育て体験を掘り下げ、シャーリーズ・セロンの卓越した演技によって命を吹き込まれた。」
SY3KR

SY3KR