このレビューはネタバレを含みます
絵が暗いとか陰鬱だとかいうのは、まあそういうスタイルの映画だからね。ミステリ仕立てというのも構成上の話であって視聴者が推理するものでもないし。ついでに言うと、このバットマンは全編を通して後手後手で知恵比べで相手を負かしたりはしない。キャラクター描写や動機付けという点ではノーラン版程筋立ってはいないので、そこは不親切というか取っ付きにくさはある。個人的にはバットマンは狂人でいて欲しいのだけど、普通に過去の経験から暗い性格なだけで、今作のバットマンはバートン版程狂気を内包していないしノーラン版程ヒロイックでもない。
別に根暗なだけのバットマンでもいいけれど、ラストシーンの出来事と、それに伴う人格に及ぶ変化は少し軽薄かなあと思う。最後まで望みのないバットマンでもいいのにね。歴史もあるし有名な作品なので歴代シリーズとの比較は免れないと思うけど殆どのシリーズ同様、これはこれで面白いのでは、というのが感想かな。でも、もう一度見ろって言われると困るなあ。
