『オードリーとディジー』
原題Audrie & Daisy .
製作年2016年。上映時間95分。

※今作品の冒頭にテロップがでますのでそのまま転載しときます。
The following film contains graphic descriptions of sexual abuse involving minors, which may be disturbing for some viewers.
小生の愚訳ですが以下の映画には、未成年者の性的虐待に関する生々しい描写が含まれれてますし、一部の視聴者にとっては不安を感じるかもしれません。
とのことですので御注意を。

性的暴行を受け、その上に一部始終をケイタイで撮影されちまった10代の二人の少女を中心に、事件が彼女たちの家族や友人、学校、コミュニティに及ぼした深刻な影響を検証する米国産ドキュメンタリー。

米国の2つの町で、10代の少女が高校のパーティーで酔った間に性的暴行を受けるちゅう悲しい事件が発生する。卑劣なことに少年(ガキで十分)たちは性的暴行の間、その様子を撮影していた。
やがてオンラインにその情報が流出したことで、むごいネットいじめが起きる事態になってしまう。
被害者の少女たちは、友人から距離を置かれることになり。。。

全米で有名なSAKI（Sexual Assault Kit Initiative）のコールドケース性的暴行捜査官であるジョセフ・メリット刑事は、今作品を 『正確やし、また、リアルで、心が痛む 』と云う。
今作品を興味本位でユニークな視点で見ることがいかに恐いことかと表現してると思います。
残虐な事件が起きて、それを正す機会を持っていたポリスや検察など、人々を守るために存在する組織が、何もせんと平然としているのを見ると、良心にショックを受ける。
今に始まったことじゃないし、彼らの多くが点数稼ぎの弱いものを刈り取るしかしない。
性的被害者に限らず事件に巻き込まれたサバイバーは、家族や仲間、社会からのいじめや辱めを、最初の暴行や衝撃と同等かそれ以上のものと表現することが多い。
こないな社会的思考プロセスを
『被害者の非難』
と呼ぶ。
被害者非難てのは、その名の通り、加害者じゃなく、被害者に加害の責任があるとする態度で、被害者非難の例としては、
『なぜそのミニのワンピを着ていたのか』、
『なぜそないに飲んだんか』
『なぜそんな遅くまで外出してたんか』
とかが挙げられる。
この有害な反応で、被害者は嘲笑されることを恐れ、人々に信じてもらえないことを恐れて沈黙することになる。こないな文化や古い考え方は、一つの事件から、大規模で悲劇的な事件に至るまで、性的違法行為を隠蔽して、正常化する環境を作り出す。 
この文化はレイプカルチャーと呼ばれて、1970年代に作られた造語です。
社会が性的暴行の被害者を非難し、鬼畜野郎の性的暴力を常態化させていることを示してる。
これにより、
"Don't rape "
しゃなく、
"Don't get raped "
と性的暴力防止を教えることが許容される社会になってる。
今作品が提示する出来事は、14歳のデイジー・コールマンとその友人ペイジ・パークハーストの悲しき体験。
今作品じゃ、事件概要を説明した後に、ノダウェイ郡の選出された保安官、ダレン・ホワイトが紹介されたりして、ドキュメンタリーは、加害者マシュー・バーネットの祖父が有名な政治家であったことを説明し、小さな町の隠蔽工作の裏事情を説明している。性的暴行事件が政治的に取り上げられ、被害者を守るのではなく、加害者やその家族の評判を守るために隠蔽されてしまうことを示す多くの例の1つやと云える。 
今作品では、この事件と検察の不起訴処分が、CNN、NBC、Fox Newsといった全米規模のメディアに注目され、大量の報道がなされたことを紹介してる。 
(事件の牽引役となったFox Newsの映像が含まれてる。)
せや、被害者たちは夜中に、こっそり外出した後に何が起こると予想して出かける女子はいるのか。
遅くまで外出していたこと、アルコールを飲んでいたこと、短いスカートを履いていたこと、意識を失っていたこと、ノーと云えなかったこととかは同意の例じゃない。
今作品は、被害者や生存者、さらには加害者に関して、今日の社会の多くを悩ませている時代遅れで病的思考プロセスてのを、善き方法で紹介しているとおもいましたし、最後には、被害者や生存者の名前として知られているオードリーやデイジー、そしてジェーン・ドゥーという名前が何度も映し出され、それらの名前が闇に消えていく様子が心を締め付けました。
この象徴的な表示は、被害者や生存者の名前のリストが、現在も続いていて、知られておらず、長く、しばしば忘れられていることを提示するために示されていると聴きます。

レイプ被害にあった少女たちのその後を描いたドキュメンタリー。
観ている間、いく人かの胸糞悪い男たちのインタビューに何度「死ね」と呟いたことか。
小さなコミュニティで耐えきれず命を絶ったオードリーと大きく訴えたことでその後家族に大きな被害が与えられたデイジー。
それぞれが追った傷はその事件そのものはきっかけに過ぎず、その後に続く見ず知らずの人々からの誹謗中傷というさらなる地獄へと続くのだ。

伊藤詩織さんの事件でもそうだけど、いつだって多くの男は男を擁護する。
だって男だから仕方ないじゃないか。
ついて行った方が悪い、泥酔したら自己管理ができてないだらしない女だとまるで女の方が圧倒的に悪いかの様に・・。
この作品でも一番胸糞が悪かったのはデイジー事件を扱った警察の小馬鹿にした態度。
まるで、デイジーが100%悪かったかの様に脳内変換するあのクレイジーさにぶつけようのない怒りが込み上げてきた。
あとは、亡くなったオードリーに対する死人に口無しで勝手な言い分を撒き散らすレイプ犯の態度も許せない。

今回証言して、声を上げた数人の少女たちは本当に強く、彼女たちの勇気ある行動は、同じ想いで苦しんで、この世を終わろうとしている何人かの声を上げられない少女たちの心を救うはずだ。
そしてレイプ犯の人権を主張している弁護士たちに耐えきれず命を絶った少女たちにも未来があったはずなのだと。
日本ではこういう告発系のものはまだまだ難しいとは思うが、それでも少しずつ変わってきているからこんな風に徹底的に犯人の悪どさをメディアで特集できるような社会になったらいい。
もしこんなふうに死にたいくらい苦しんでたら被害者同士がコミュニケーションをとっていくシステムがあればいい。
そりゃレイプ事件がないのが一番ではあるのだけどね。
ちなみにこのドキュメンタリーにおいての一番の心のイケメンはデイジーの兄でした。

どんな理由があるにせよ、酔っ払った10代の女性に彼らが行った行為は確かなのに、何故被害者が疑われて、脅迫まで受けなきゃならないのか……強い憤りを感じた!!

お酒を浴びるように呑んだ事は良くなかったかもしれないが、だからって……酷すぎるじゃないかっ(´Д｀)💦

被害にあった2人の女子を中心に作品は作られているが、1人は辛すぎる現実に命を絶っている……
取り返しがつかないのだ……

ある男性が加害者を擁護する言葉が辛かった……全てを理解した訳じゃないが、あれは酷すぎる(´･･`)💦
簡単じゃない問題なのだと思うが、今このような現実がある事を理解するのに良い作品だと思う。。。