つちのこ

私はあなたのニグロではないのつちのこのレビュー・感想・評価

3.9
あまり背景を分っていないので、この映画の理解率も 50% もないかもしれない。
『私はあなたのニグロではない』というタイトルから類推するに、黒人奴隷時代の話だと思ってたが、違った (そもそも、本当にその時代だったら、こんなことを言うことすら許されないか…)。

日本人はこのような映画を、「白人って野蛮」とか「黒人がかわいそう」などという、第三者の気持ちで観る人が多いのかもしれない。

確かに私たちはこの「黒人差別問題」に関しては、特に非がある訳じゃないかも知れない。

だけどどうだろう、某掲示板や、全然関係ない (更新されていない) ブログや動画へのコメントなど、隣国の人たちを差別するような発言を、頻繁に見かけないだろうか。

私は SNS はやらないので分らないが、そちらへの投稿の方がもしかしたら多いのかもしれない。

それでいて隣国の優れた製品や、低コストで作成された製品は嬉嬉として消費し、娯楽だって受け入れるのに、その国の人たちが日本に入ってきた途端、いや入ってこなくても、蔑んで言葉で侮辱して。

何か違いがあるだろうか?
一体、何に脅えているのだろうか。

(割と最近知って衝撃を受けたが) その昔、日本は中国大陸と陸続きであり、人々はそこから歩いて渡って (という表現もおかしいか) きたと。だから蒙古斑があるんですね?

それが海に分断されて、違う「国」になっただけ。「純粋な日本人の血」とか、今更何を。そんなクソみたいな差別主義者が日本人たる血だとでも言うのだろうか。

そもそも、例えば白人の血なら (日本では黒人も?) 嬉嬉として受け入れるんだろうが。結局、対象が違うだけで差別はそこここに存在している。

対岸の火事ではない。この映画で作家が語ったことは、私たち日本人も肝に銘じないといけない。

以前、YouTube で「アメリカから日本に移住した黒人に、日本に住んで良かったことインタビュー」みたいなのを観ました。
複数名が「警官を見かけても、『この人私の事撃つかしら?』と心配しなくていい」と挙げていました。

奴隷解放宣言がなされて大分経っているにも関わらず、現代でもそんなレベルで怯えて暮さないといけないの!? と当時はびっくりしましたが、そのあと相次いで複数人の白人警官に 1 人の黒人がボコボコにされるとかのニュースもあったので、マジなんだと納得しました。

あと「日本の嫌なところ」で彼女らのドレッドヘアや編み込み、引いては顔さえを「勝手に (日本人が) 触ってくる」ということに嫌悪感を抱くと言っていました。そりゃそーだ。

普通に日本人同士で知らない人にそんなことされたらビックリするし、「なんて無礼な人!」と思うだろ…
「黒人には勝手に触っていい。なんかフレンドリーそうだし」とか思ってるフシないか?

ほとんどの人が不愉快に感じると思うので、やめてください。


ひとつ、気になるんだが。

差別主義者の人って、海外旅行とかした事ないんですかね? あ、ツアーとかに参加して上げ膳据え膳してもらってるのかな。

一人旅で個人手配で海外旅行してみるといい。日本にいたら一生出会うこともないかも知れない人達が、「その場に居合わせた」というだけで、ろくに会話すらしてないのに、自分を助ける義理など微塵もないはずなのに、時には言葉が一切通じなくても、全力で助けてくれるから。

それに心を打たれて「自分も困っている人を助けよう!」と思えず、差別主義の思想を持ち続けるなら、それこそ日本人ではない。

無知だから怯える。分らない、得体の知れないものは怖がるしかない。臆病な自分を認めたくない。そうなったら取る方法は 2 つ。
相手が怖くなくなるまで理解するか、「モンスター」だと嘯いて攻撃に出るか。

前者は思いやりの溢れた平和な道。後者は血を血で洗う修羅の道。

私たちは全員人間です。サイコパスなどを理解するのは相当難しいかもしれないけれど、通常の人間同士であれば、人種に関係なく、同じような感情を持ち、同じような反応をします。多少、文化や環境の差による違いは生まれるでしょうが、蹂躙されて喜ぶ人間はいない。
(たとえば一見 M っ気な人が踏みにじられていたら蹂躙されているように見えても、本人は喜んでいるんだからそれは「蹂躙されている」には該当しない)

自分の権利を蹂躙されれば悲しみの結果憤りが発生するし、惨めな思いを強要されれば記憶してしまうし、つらい記憶があったら「ごめんね」って言われたとしても、笑って許せないこともあるんです。

人間の本質はみな同じです。それを忘れてはならない。恨みを消すには、本人にも相当な努力が必要だということ。買った恨みの矛先が、どんな風に自分に向かうのか、「想像すらしたこともなく」行動に移すのは浅はかすぎる。

無知ではいけない。自分と関係ないと思ってはいけない。できることから、始めよう。