西村権太郎

熱いトタン屋根の猫の西村権太郎のレビュー・感想・評価

熱いトタン屋根の猫(1958年製作の映画)
4.5
観たい、と思ったのは1994年。
90210でブレンダ・ウォルシュが高校の劇でマギー役に抜擢され情熱を注ぐエピソードが数回に渡った。

正義感が強く、常にどれが正しいか自問し、気性が激しく、正しいと思ったら突っ走り、裏切った者は許さない彼女の性格にマギー役はピッタリだった。

とは言えマギーって?🤔
ってな訳でどうゆうお話なのか気になっていました。

同じテネシー・ウィリアムズの原作であるア・ストリートカー・ネイムド・ディザイアが本当に面白かったので、これも面白い筈、と思ってみたらやっぱり凄く面白かった。

戯曲(確か)だからか基本会話会話形式なんですが、片時も目を離せませんでした。字幕を見逃したくないのも有りますが、表情や所作ですよね。相手が言った事への反応とか見逃せなくて。

昔の映画だと、彼らの感情とかリアクションが謎で感情移入出来ない事とか有りますが、これは比較的大丈夫🙆‍♂️でした。

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先ず、クドクド説明しなくても、冒頭の1分間で状況・経緯が即座に分かる造りが本当に素晴らしいと思いました。

挫折と充実した時代への郷愁、背広を着て働いているけど、今は自己実現感を得られていない。言ったら結婚生活も幸せじゃない。
その辺りが1分で判る様にしてある。
これは凄い。

次のシークエンスは結構長いけど、全く飽きさせない丁々発止の対話。エリザベス・テイラーとポール・ニューマンの美しさのせいもあるけど、長いシーンなのに全然大丈夫。むしろもっと続けて欲しいぐらい。それぐらいダイアログが素晴らしい。

で結構ポール・ニューマンの我儘がムカつく。何が不満なんだろ。
でも僕には大体分かるんですが。

舞台はミシシッピでしょうか。
ニューオリンズとか南部の、外でご飯食べる時の提灯が好きなんですよね。
何処かで売ってないでしょうか。
あれやりたいんです。
提灯&庭とか外で飲んだり。

で兎に角ガキがウザい。その母親(兄嫁)も終始ムカつく。エリザベス・テイラーに殴れ!と思ってたら後半殴りそうになるけど義兄に制止されてクソってなる。

ティファニーで朝食、でも後半ニャン吉が重要な役割を果たしますが
この作品では軽くワン吉が1番分かってる役で一瞬登場します。
ワン吉が1番分かってた。

お兄ちゃんもそんなに悪い奴じゃないし、パパも、僕は最初から憎めなかったです。

次男であるポール・ニューマンの問題は、そんなに父親起因ではないから懐柔が可能だった訳ですね。

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ふんぞり返った昭和の老害達は、私は本当に嫌いなのですが、彼らの良くない所を踏襲している男子(今のパパ世代ぐらい)も居て、凄く残念に思います。

アメリカも日本もそうですが、昔は生きるのに必死だったでしょうし、男も必死に働いて、女も子育てと家事とで。この時代の映画を観ると嫁が召使みたいで痛々しさすら感じます。それ故婚姻制度が制度先行で愛情は後回しみたいな。
ゾッとします。

彼らマジョリティの生きる土台もグラグラなのにマイノリティの事まで慮ってはいられないでしょう、ってゆう時代だったみたいです。

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マギーですが、ちゃんと、観客が1番感情移入出来る様なキャラクターにしてありました。

思慮の有る人なので、人の感情にも敏感だし、実は思いやりが有る。そんな風にセンシティブなので寂しいから自分も愛情が欲しい。それが得られないから不貞腐れてもいる。そんな感じの人を、エリザベス・テイラーは見事に演じていました。無礼な口をきく兄嫁は殴…

…ろうとしたら、クソっ。
止められちゃうんですよね。
兄嫁が本気でムカつくんです。

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星5にしなかったのは、謎に居心地の悪いハッピーエンドだったからです。

全然ハッピーじゃない
ハッピーエンドなんですよね。。

でも凄く面白かったです!
西村権太郎

西村権太郎