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熱いトタン屋根の猫のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

熱いトタン屋根の猫(1958年製作の映画)
3.8
酷暑にタイトルで選んだテネシー・ウィリアムズの戯曲。猫は出てこなくて一安心。比喩でした。家族の大喧嘩を通して、雨降って地固まる話。ポール・ニューマンが元フットボール選手、その妻にエリザベス・テーラー。

資産家の父親が余命いくばくもなく、集まった家族が不安定になり激しくぶつかり、長年溜め込んだ家族の膿が出されていきます。「8月の家族たち」「大人のけんか」を足したような激しい言いあいがあり、カサヴェテスが撮ったらどうなるだろうと思って観ていました。

今までのうっ積した思いをストレートに吐き出せるのは家族だから。ただ愛が欲しいだけ。なぜこの裕福な家庭でそれぞれ不満を持っているのか、それは会話劇の中で明らかにされていきますが、さすが有名な戯曲、直接は語られません。各自がそれぞれひた隠していたウソが間接的にわかっていき、家族を愛しているために葛藤して生きてきたことがわかります。

この家族けんか、どう収拾させるのか心配していたら、こんな終わりかたは想像できませんでした。うまいなあ。家族だから意味を理解しあえる。ウソであってもいい。家族のいちばんの望みだったから。


それぞれが愛を求めた家族の大喧嘩でした。

ラスト数分以外ずっとケンカしているので、苦手な方は多いかもしれませんが、だから家族なんだと、家族の思いに目頭が熱くなりました。
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