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ペット 檻の中の乙女のマーチのレビュー・感想・評価

ペット 檻の中の乙女(2016年製作の映画)
4.0
【レビュー🐕】
アブノーマルで破茶滅茶な世界観が個人的に好きな作品。

ドミニク・モナハンとクセニア・ソロの演技合戦によるタイマンプロレスが楽しめる今作。心理ゲームの様に水面下でぶつかり合う演技ツイストの応酬が観ていて最高に楽しい。

予告で重要な部分がしっかりと隠れていたのも功を奏していて、予想を覆す衝撃展開が何度も繰り広げられるから凄い(ただ、ハードルの上げ過ぎは厳禁です)。しかも途中で「愛」について語り出すという急に群像劇チックな展開を挿入させてくる辺りも憎めない。

それでいて結末は異常で確かに「反撃」にも成功しているし、ラストのモナハンが可愛かったので、非常に熟考されていて練り上げられた脚本だと感じました。そりゃ例のアブノーマル大歓迎映画祭シッチェス・カタロニア国際映画祭で脚本賞を取っただけのことはあります。

思いがけずグロッキーだったのも良かったですし、セスはクズなストーカー野郎だな…と思っていたら、ホリーは予想外のとんでもない裏の顔があって、それこそセスのクズさが可愛いく思えるほどの異常者だったので、優勢と劣勢がはっきり分かるセスの表情が可笑しくて可笑しくて堪りませんでした! 安易な正義感と盲目の恋による影響で、自分から足突っ込んでしまっているにも関わらず、いつの間にか泣きべそかいてるし、本当にセスは可愛くて憎めないヤツですよ〜🐶

【p.s.】
ハードル上げずに暇潰し程度で観ようと思って借りた作品が自分の好みだったってことは稀にあるのですが、『ノックノック』以来、その模範的な結果を表した作品となりました。

セスみたいに澄ましていて、自分は世間を上手く乗りこなしていると思っている風のヤツの方が意外と臆病で悲劇に陥り易いし、吹っ切れたヤバいヤツの方が人生を楽しんでいるという皮肉。

そして94分という上映時間を疑ってしまうほどのストーリー展開の“濃さ”! これに尽きますし、『アイ・カーリー』などでお馴染みのジェネット・マッカーディが出演しているのも思わぬサプライズでした。

【映画情報🐕】
上映時間:94分
2016年 アメリカ🇺🇸・スペイン🇪🇸/監督 カルレス・トレンス/脚本 ジェレミー・スレイター/キャスト ドミニク・モナハン/クセニア・ソロ/ジェネット・マッカーディ/ストーカー男に拉致され檻の中に監禁されてしまった女性の運命を予測不可能な展開で描くサスペンススリラー作品。
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