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ミッドサマーのマーチのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.8
記念すべき500レビュー目は、最近観た中でも飛び抜けて面白かった、こちらの作品。


〈🌼東京国際映画祭2019にて🌸〉

アリ・アスターがまたやってくれた!!

既に話題沸騰の今作、TIFFで一足先に観てきました! 今回は無修正版での上映だったのですが、来年2月の日本公開時には一部にボカシが入るようです。
🐻
いや〜、アリ・アスター、マジでヤバいです…ほんとどうかしてます。笑
🍄
夏至祭という荘厳なモチーフを下地に、残虐あり、バカらしきお色気ありのやりたい放題!笑 しかし、それだけに留まらないのがアリ・アスターの凄いところ。背景に潜む絵や小道具にまでしっかりと意味付けがなされており、前作以上に洗練された素晴らしい撮影と計算され尽くした緻密な構図が観客の興奮を煽りに煽ること必至の仕上がり。前作から共通するアリ・アスターの作家性〈例えば、同じ構図で昼夜の時間をカット割りで一気に飛ばす(省略する)演出〉ありなので、彼の作品における共通項が前作を観ておけば今作でかなり固まってきている印象を受けると思います。
🌺 💠
構成も実に上手い。夏至祭へ向かうまでの時間の中にも少々ヒントが散りばめられており、後半にはセリフでの説明や意図的で露骨なクローズアップなしで、それらの伏線が見事に回収されていくもんだから脚本の段階でかなり凝っていることが伺える。後から色々思い出していたら、「あぁ、アレはそういうことだったのか!」とか「確かにあいつキリストっぽい風貌で最初から怪しかったな…」など、芸の細かさに後々何度も膝を打つことになります。1回で全てのネタや伏線を拾うのは相当難しいのではないでしょうか。「そもそも全てが仕組まれたことで、どこからかそういう方向へ舵を切らされていたのでは?えっ、もしかして最初から?」的展開の解釈余地を観客に残してくれているのも最高だし、映画の力と自分の作品を信頼しているのがビンビンに伝わってくる。
❄️ ⛄️
オープニングクレジットも最高で、タイミングといい、シンプルに見えて対比の効いた映像といい、音楽の物々しさといい、ストーリーへの導入を思いっきり高めてくれます。
🔥
やっぱりホラーといえば、夜や暗い部屋の描写によって、映画館の暗闇と観客を同調させることで恐怖を掻き立てるのが常套手段。でも、今作が秀逸なのは、それを逆手に取って“明るすぎて怖い”を作り出しているところ。夏至祭ということで白夜がやってくる土地なので、画面が嫌になるくらい明るい。見えないから怖いのではなく、見えすぎて怖いという新しい次元を生み出しているのが凄すぎる。絵などでこれから起こることが警報のように事前にお知らせされるということもあり、それが起こった瞬間の緊張感と生々しさがエゲツないほどに掻き立てられるのは、アリ・アスターの卓越した演出の賜物。先立った提示によって観客は当然身構えるが、それを超えてくる。ただおちゃらけている訳ではなく、非常に聡明かつ繊細な演出の下の描写であり表現であることが随所に感じられる。
🌲 🌼
ここまで読むとトンデモナイ恐怖映画のように感じられるかもしれませんが、この作品、ホラーというよりスリラー、スリラーというよりコメディです。笑 なぜコメディなのかというと、次々に起こる出来事が突拍子もない上にシュールだから!笑 それでいて、宗教の胡散臭さも存分に充満しているので、無宗教の人が多い日本人には特にバカらしく映るのではないでしょうか。劇場内は頻繁に笑いが起こってましたし、自分も今年観た映画の中でもトップレベルに爆笑してました。
🔨 🌞
ドラッグ、幻覚、悲劇、伝統…そして祝祭。最後に訪れる1つの決断は、意外にも普遍的。だからこそあのラストは誰にとっても深く心に残り、共感できるし、人間味がむき出しすぎてイヤ〜な、でもちょっと爽快な、気分になるんだと思います。それ故に思い出したくないことまで思い出してしまう危険性と絶望感はありますが… 笑
🌸 🌹
というか、ネタバレなしではここいらが限界です!笑 絶対に来年公開されたらまた観るし、未だにめちゃくちゃ観たいので複数回足を運ぶこと必至です。笑 中毒性高い!
🧸
誰もが観終えた直後に「何が“Welcome and happy midsommar”やねん!!」ってツッコミたくなるはず。笑
🌼 🌺 🏵
今年ベスト級の1本であり、相変わらずアリ・アスターの細部への作り込みと底知れない世界観の完璧さが凄すぎる、端正な演出に磨きがかかった人間セラピー的側面のある作品でした。男根崇拝モチーフなど、かなり『ウィッカーマン』の影響下にある作品なので、参考までに。(事前に観ない方が今作の衝撃度は高いと思いますが…)

いやぁ〜、楽しいですよ〜😈🤗🤪!!
祭りだ、祭りだ🤩😨!祝祭だ🤩😏!!🤢
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