すずき

レディ・ガイのすずきのレビュー・感想・評価

レディ・ガイ(2016年製作の映画)
2.2
殺し屋・フランクは雇い主に裏切られ、彼に恨みを抱く女性医師レイチェルに捕まる。
彼女は性格の歪んだ天才整形外科医師で、フランクの身体を女性へと作り替えてしまった!
男性という性別を奪われたフランクは、二丁拳銃を手に復讐を始める…

ミシェル・ロドリゲス姉御が、心が男性の女性殺し屋を演じる復讐譚。
しかし、企画自体に粗末な点が多くて、個人的には駄作の部類かな…。

TS(性転換)というジャンルは、一部の人たちの間で結構熱いジャンルで、目の付け所は良い。
だけどTS殺し屋アクション映画、と聞いて、皆様はどんな想像・期待をするだろうか?
この映画は、そんな皆が期待するような描写が一切ない。
TSである必要性が薄く、正直「最初から女の殺し屋」の復讐ストーリーでもいい。

俺が見たかった描写、それは例えば、男性よりパワーに劣る分、女性の身体を活かした、しなやかに魅せる格闘アクション。
しかし、この映画には格闘シーン自体少なく、出合頭に銃を撃つだけ。
また、心が男性のままだから、いまいちチグハグな立ち振る舞いで女性の世界に馴染めなかったり、逆に女性だけど男性的でカッコいい、とレズっ気のある人にモテまくったり、とTSならではのギャグも見たかった。
しかし、この映画は無駄に徹頭徹尾シリアスで、ギャグシーンはない。
ではシリアスなら男性性・女性性に切り込み、ジェンダー問題への考察があるかと言うと、それも感じずひたすら浅い。

性転換前の序盤は、ミシェル・ロドリゲスが男装して男性役を演じる。
ヒゲをボーボーに生やして、胸毛とチ○コ見せて男性を強調するんだけど、うーん、ヒゲの生えた女性にしか見えない…。
男性の時からロングヘアーなのもいけない。
ショートカットならまだ男性に見えたかもだけど、身体の輪郭線が曲線で男性にしては美し過ぎるんだよなぁ。
それに声も「男性声を出そうとしている女性の声」で、男性声優の吹替で良かったのでは?
日本語吹き替えでは朴璐美が演じてるんだけど、朴璐美ボイスだと屈強な男性じゃなくて爽やかな少年っぽく、明らかなミスキャスト。

そもそもこの企画、元々男勝りでカッコいいイメージのある、ミシェル・ロドリゲス姉御にやらせる事がミスキャストなんじゃないか?
女性らしいイメージのある女優の方が、ギャップで面白くなったかもしれない。
もっと言うと、ガチ演技派女優を起用すれば、「心が男性の女性」に説得力が生まれたかもしれない。
ミシェル・ロドリゲスの限界も感じさせる所も残念なので、彼女のファンにもオススメ出来ない。